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「別にええやんけ。」
「もう3年たったんだよ？失恋も成仏できたはずだって。」
「それはユリカの考えやし、関係ないやん。」
「そうだけど。」
「俺、断ったよな？」
「分かってます。」
「同期としてしか見れへんって言うたし、文句言うなら会うのはやめようってのも話した。」
「うん。」
「なら、会わない方がええんちゃう？」
「それは嫌なの。」
「なら、俺がどうしようと関係ないやん。」
「私は……」
「それ以上言うたらほんまに会うの止める。」
ライターの音と同時に見えたユリカの表情は我慢しているって言うのが俺にまで伝わる。深く吸い込んでから俺は天井に向けて吐き出してから一度目を伏せた。
「何度も言ったで？恋愛感情にならへんって。誰かが入れ知恵したんかもしれんけど、俺はユリカを友達の1人にしか見てへん。酔って送って行って何もないのはそう言う意味なんやって。」
黙り込むユリカはきっと泣かないように必死に耐えているんだと思う。
「仲良くなりすぎたんやって。こうしてサシで飲むのを止めよ。」
「どうして？」
「お前がそうやって俺に向かってくるのはしんどいねん。」
「私は大倉が……」
ユリカを見ると声にならないようにゆっくり唇を動かして言う言葉は俺が一番聞きたくない言葉やった。
「マジ、止めよ。」
「ごめん、そう言うのでなくて。私は……本当に……」
「同期としての言葉なら喜んで受け取るけど、恋愛でならほんま会うのは嫌や。」
きっと俺が言うてる言葉は酷い言葉に違いない。
消えそうな声で言う「ごめん。」は、ほんまは俺が言うべき言葉でユリカが悪いわけやないんやって。でも、社内でこの手で話が出たらきっと過去をほじくり返されるのは目に見えてわかってるん。
「これ飲んだら帰るな。」
俺はそう言うとユリカは小さく頷いた。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年1月18日 20時
