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「あの件だって主任一切悪くないのに、被害者ツラしてマジに嫌いです。」
きっぱり言われた言葉に苦笑いしか出来へん。
「さっき戸越がここに来て先輩の悪口散々言って帰ったんで大丈夫です。」
なんの大丈夫か俺に分かるように教えてくれないかなタナカさんよ。
「あれ？戸越さんって。」
「同期で一緒にいたの覚えてないです？」
「全然。タナカさんのインパクトが凄すぎてそこしか覚えてない。」
「普通でしたよ、私。」
「え？声かけたら許さないオーラバンバン漂わせてそれ？」
「おかしいなぁ。」
いや、ほんまに。あの時のタナカさんのオーラ半端なく怖かったんやって。希望の部署配属されなかった怒りからかもしれんけど、今と真逆でこんなフレンドリーに話せへんもん。
あの出来事を知っている人がこうしているだけでも救いなんやけどね。
「主任は相変わらずへんなコトに巻き込まれているって言うのが私にとって不思議ですけどね。」
「それ言うのナシね。」
よし、後はデータ送れば全て終わる。
腕時計を見れば19時を過ぎていて超過も超過。どこかで帳尻付けなあかん状態になっていた。
「ねぇ、主任。」
データ送信完了マークが出てからパソコンの電源を切って片付けの準備をしながら「ん？」なんて返事を返すとタナカさんはじっと見て俺に言うた。
「ゲイってマジ？」
「はぁぁぁぁぁ？」
突然の質問に思わずそんな声を上げると店の中に見事に響いた。
「は？なにそれ？」
「ゲイ。」
「誰が？」
「主任。」
「ど、どこでそんな話？」
「女子の一部ではそんな話が。」
「え、なんで？俺……そっちに行かなきゃあかんの？」
いきなりの言葉に頭混乱しながらパソコンを引き出しに入れてしまおうとしたら思いっきり人差し指挟んで半泣きになりながらタナカさん見ると、そうですって顔してるん。
厄日確定。
「なんでそんな話が。」
「主任を見たって言うんです。」
「ど、どこで？」
「中通りにあるクラブ。」
ヤバイ、心当たりある。休みの日に飲みに行く場所ってあそこばっかりなんやけど。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年1月18日 20時
