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「慣れです。」
にんまり笑って言われて「いや、おかしいやろ？」なんて言うとグラスを置いてから付け加えるように言われた。
「慣れたらそんなに挙動不審にもならん。」
「慣れ？こんなん慣れるまでずっと挙動不審でおるん？」
「あれ？大倉なら大丈夫だろ？いつも通りちょいちょいしているのと同じやって。」
「嘘やん、そんなの無理やって。」
「ほんま大丈夫です。」
勝ち誇った顔をされても信じられへん。
「僕は最近そこまで酷いのないけど、大倉のは見たい。」
「見世物ちゃうから。」
「大倉がでしょ？そんなに緊張するってレアだもん。」
むかつく……ヤスの言葉がむかつく。
「どんな人？」
「は？言わんし。」
「つまらないなぁ。」
言えへん、絶対言えへん。
こんなのありえへん。
なんで、なんで……横山先生にこんな状況になっているか俺が一番分からない。
好きになる要素なんてないやん。
突き刺さるような言葉しか言われてへんで？
馬鹿にされたような態度しかされてへんで？
どこに恋する要素が落ちてるん？
絶対、これは間違いや。
恋やない、これは違う。
ビールを一気に飲み干してから俺はすぐにオーダーをするとヤスはにんまり笑った。
「認めないな。」
「これがそうだって言えへん。」
「今まで世話になった人とか、付き合った子がさ大倉に対してどんな態度してたか？とか、話してい
たか思い出したらいいんちゃう？」
「態度？話？」
「大倉は違っても相手は好きでしょ？なら、そんな態度していたんちゃう？」
頭良くね？
「ヤス……」
今日もスカートだけど、今日もピアスがむっちゃついてるけど、今日も髪の毛がハリネズミみたいだけど凄いな、ほんま。
「褒めてもええで？」
「やめとく。」
「早っ。」
お互い顔を見合わせて笑うとヤスは煙草を銜えて俺を見て言うた。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年11月17日 16時
