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運営側がやらかしたってなれば。
いくら過去のことでも、そう言うのは拒絶反応するのは多い。
カーテンの向こうで微かに聞こえるのは木村の声でアイツの声はしていない。
「入るぞ。」
その声を聴いて木村の声が「横山先生。」と言い、ベッドにおる男が強張った顔をしていた。
「横山先生、どうして?」
「その件は俺もかかわっておるから。」
「沢田先生は知っていますか?」
そりゃ、個人情報丸出しの案件だからそう聞くよな。
「知ってるもなんも、沢田には聞かなくていい言うたけどアイツは真面目やん。」
「そうです……ね。」
困った顔をしている男を見て俺は木村が言いにくい言葉を素直に投げかけた。
「これは医師としての質問や。」
そう言うと素直に頷いて「はい。」そう返事をする。
「大倉さんの背中にある火傷の痕、沢田先生が気になって確認しろと看護師に依頼した。1か所2か所なら気にもせんけどな、さすがに……数が多い。本来は気にもしないし、患者側のプライバシーもあるから本来は聞くことはしない。が、お節介な外科医はどうしても見えるだけに気にしてしまうん。警察に対応を依頼しなきゃいけない場合も稀にあるねん。」
いつもの大倉と違う
そう……昼間見た大倉と違う、無表情で冷めた目でこちらを見て口を開いた。
「高校の時の傷です。」
「最近ではないんですね。書いておきます。」
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木村はそう言うてキータッチをしていく。
「あと……」
指の動きが止まり申し訳なさそうに木村は付け加えて言うた。
「タトゥーは最近ですか?」
……それは聞いてへん。
俺が知ってるのは火傷が多かっただけとしか知らんで?
パソコン画面を見ると沢田の細かい説明図と左肩にチェックが入っていた。
マメすぎるやろ、沢田。
大倉を見ると視線を反らしてから「高校です。」とだけ言う。
高校で?
「すいません、嫌な質問をしてしまい。」
木村はそう頭を下げてフセンに書かれてあった確認業務2つを終えて安心した顔をする。
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「戻ります。及川がいるんで。」
「さっさと帰れ。って、言うとけ。」
「はい。それでは大倉さん、失礼します。」
頭を下げ木村はそそくさとパソコン乗せたカートを押して廊下に出て行くと、俺は「助かった。」と、言うと大倉は小さく頷いた。
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年11月17日 16時