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「相変わらずやな。」
大笑いして言う人は煙草を吸いながら言うと眼鏡のブリッジを上げて彼言うたん。
「毎度のことやで、仕事サボってとうとう植物園の温室に手を出すとは思わんかった。」
「毎回大変やな。」
「慣れたし。外来がなかったら社長が探すんやで?」
「それ、見てみたい。」
「やめてや、すぐ俺に電話してきて仕事ならんし。しかし、大倉と話し込んでいるとは盲点やっ
た。」
ため息をして思いっきり睨まれる俺ってかわいそうちゃう?
「なんでここだってわかったん?」
「台車をご機嫌で押している隆平を見たって看護師が教えてくれて。」
確かにご機嫌で押していました。むっちゃおしゃべりしながら押していたし。
「また理事長に怒られるな。」
「ほんまやで?何回繰り返したらええんか分からへん。」
「かわいい弟みたいなもんやん。」
「そういう問題ちゃうで?ヒナのところみたいなええ子ちゃうしな。」
「俺のところは体育会系やな。」
「隆平は文化系であかんねん。」
「昔からかわいい言うてるやん。」
「あれは気の迷いやな。」
呆れた口調でそう言い、彼の煙草を奪って吸い……そういう関係なんやって改めて感じる。
「自分で吸えや。」
「ええやん、ずっと吸いたいわけちゃうし。」
見てはいけないものを見た。
見たらあかん気がする、これは。
むっちゃサラリとした行動で、違和感なくて、こういうのって仲が知れてないとできない行動やって。
「兄ちゃん固まってるで。」
「変な奴。」
小さく笑って言う言葉が突き刺さるんやけど。
「この先、隆平がくっついてきたらヨコに連絡してやってや。医者なのに子守しているかわいそうな奴やから。」
「言い方が酷いな、相変わらず。」
「そうやん、なんならすば るに連絡したらええんちゃう?」
「もっと厄介や。」
俺が見た笑った顔と違う。
俺の時はなんて言うか馬鹿にした感じやけど、その村上さんに向けて笑う顔はあまりにも違う。
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優しくて、俺とは違う。
当たり前か
手伝ったぐらいでちょっとは仲良くなったなんて思うのが間違いなんやって。
ほら、また視線が……違う。
……違う
苦しい、なんか
「仕事戻りますね。」
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年11月17日 16時