検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:31,862 hit

65 ページ15

.


「相変わらずやな。」


大笑いして言う人は煙草を吸いながら言うと眼鏡のブリッジを上げて彼言うたん。




「毎度のことやで、仕事サボってとうとう植物園の温室に手を出すとは思わんかった。」



「毎回大変やな。」



「慣れたし。外来がなかったら社長が探すんやで?」



「それ、見てみたい。」




「やめてや、すぐ俺に電話してきて仕事ならんし。しかし、大倉と話し込んでいるとは盲点やっ
た。」





ため息をして思いっきり睨まれる俺ってかわいそうちゃう?




「なんでここだってわかったん?」



「台車をご機嫌で押している隆平を見たって看護師が教えてくれて。」





確かにご機嫌で押していました。むっちゃおしゃべりしながら押していたし。




「また理事長に怒られるな。」




「ほんまやで?何回繰り返したらええんか分からへん。」




「かわいい弟みたいなもんやん。」




「そういう問題ちゃうで?ヒナのところみたいなええ子ちゃうしな。」




「俺のところは体育会系やな。」




「隆平は文化系であかんねん。」




「昔からかわいい言うてるやん。」




「あれは気の迷いやな。」





呆れた口調でそう言い、彼の煙草を奪って吸い……そういう関係なんやって改めて感じる。




「自分で吸えや。」




「ええやん、ずっと吸いたいわけちゃうし。」




見てはいけないものを見た。





見たらあかん気がする、これは。





むっちゃサラリとした行動で、違和感なくて、こういうのって仲が知れてないとできない行動やって。





「兄ちゃん固まってるで。」



「変な奴。」




小さく笑って言う言葉が突き刺さるんやけど。





「この先、隆平がくっついてきたらヨコに連絡してやってや。医者なのに子守しているかわいそうな奴やから。」





「言い方が酷いな、相変わらず。」




「そうやん、なんならすば るに連絡したらええんちゃう?」




「もっと厄介や。」





俺が見た笑った顔と違う。







俺の時はなんて言うか馬鹿にした感じやけど、その村上さんに向けて笑う顔はあまりにも違う。









.


優しくて、俺とは違う。









当たり前か









手伝ったぐらいでちょっとは仲良くなったなんて思うのが間違いなんやって。








ほら、また視線が……違う。






……違う






苦しい、なんか







「仕事戻りますね。」





.

66→←64



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年11月17日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。