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「なんて言うか……代わりなんているんです。幼ければ何も知らないうちに亡き者にしようと考える人は多い。扱いやすい人間を政(まつりごと)で使いたいのがこのご時世なんです。」
淡々と言う彼の言葉に俺は「わからね。」なんてつい言ってしまう。
「そう……醜い人間の争いです。」
隆平は傍にある木の枝を折り岩場に落とす。
「叔父は気に食わない人間を簡単に殺めていました。僕にはどうしても理解できなくて、文句を言ったら東に追いやられて人質生活です。」
「しんどくね?」
「そうですね、もう少し……権力に関係ない家に生まれたかった。」
彼はか細く笑って俺の乱れた髪に触れた。
「汚いで、あんまり洗ってへんから。」
「同じようなもんですって。」
笑って言う彼の言葉
「2回しか会ってないのにずっと前から知っているような気がするのは何でや?」
「多分、忠義が都で舞を披露していたのを僕が見ていたから。」
「でも、あれは話もしてへんやん。」
「そうですね、不思議ですね。」
顔を見合わせ笑って……唇を重ねる。
月の明かりのせい?
いや……もう会えないそんな感覚がお互いに生まれていたんやって思う。
「行くなって言うのはあかんの?」
隆平の頷く姿に俺は彼の手を掴む
「こうして出会えたのも何かの縁やん……もう会えないって寂しすぎるし。」
「もっと早くに会いたかった。」
消えそうな声で言う隆平の言葉に俺は彼を抱きしめていた。
身分が違うのは分かっている
貪るように唇を重ねる
草むらの中で身体を重ねる
囲われている時に言われたん
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----死が近づくと人は身体を求めていく
まさにそうや
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年3月3日 18時