冬の刻-31 ページ41
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「沙羅双樹の花が咲いたと聞きましたよ。」
廊下から聞こえた声に「信五殿ですか？」と声をかけるとすぐに返答が来た。
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御所の奥
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俺は作業の手を休め廊下におる信五殿の方に行くと沙羅双樹を指さしてなんてことない会話をしていく。
あの出来事を知っているのは皇子の息のかかった人間しか知らない。
その息のかかった人間の半分がこの御所から消えた。
消えたと言い方はおかしい……か……
御所から下がられた。
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そして、家ごと取り潰しになった。
流罪の刑を言い渡されたん。
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理由は簡単。
今回の出来事がミカドの耳まで届き行動されただけの事。
皇子の暴挙と判断されたミカドは……流刑を告げた。
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怒りは頂点になった皇子は、今度は自分から行動を移したんやけどミカドの方が一枚上手やった。
用意周到に準備をされ皇子を流罪にした。
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だから、息のかかった人間が先に流罪された。
隠岐の島は昔から流される場所。
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数代前も流されている島。
そこに皇子を流されたのもミカドの優しさだと思う。
品位だけは保ってあげようと言う……心使い。
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ミカドからお召を受けた俺は……御所に上がるように命令を受けた。
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跡継ぎとして一条家に入ったのにまさかの状況に義父上は心配した。
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その辺りはミカドが穏便に話を勧めたんやと思う。
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自分がミカドの子供だと内々でお達しが流れてから、義父上の機嫌はすこぶるよくなった。
そりゃ、自分の娘が皇位のある男の嫁になったと改めて分かればそうなるか。
皇子と言う言葉を俺は引き継ぐことはせず、次の皇位が決まるまで……
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暫定的でいる事でこの騒ぎは落ち着き、数年の月日
俺も……この生活になれた。
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皇女の誰かがさっさと跡継ぎを産めば一条家に戻れるのに……なんて野暮な事を感じてしまう。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
