冬の刻-24 ページ34
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１日１度の食事
「今日は何日ですか？」
なんて質問して答えてくれるのはほんの一握りで、最近教えてくれた人の言葉を信じれば四月(よつき)目に入ったくらいやな。
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異形の手
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異形の足
オニの自分は何度か見てるが好きになれへん。
喉がずっと渇くのはオニの姿になって長く人の食事しかしてへんから。
水では潤う事はない。
血でないとあかんなんて地獄。
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「食事です。」
いつもより遅い時刻に来た食事に僕は顔を上げた。
微かな蝋燭の明かり。
唇が震える。
「りゅうさん……」
そこにおったのは忠義殿やった。
「俺の為にこんな……ほんまになんて詫びたらええか。」
床に置いた食事道具の後に彼は僕の手を掴もうとする。
「あかん、触ったら。」
「なんでです？」
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「人の手やないから。」
「関係ない。」
捕まれたその手は温かくて僕は安堵する。
この人だけは守りたい。
何があっても。
ずっとずっと……探していたあの人の生まれ変わり。
「こんなに痩せて、食事も粗悪すぎや。」
「あまり食うてへんから。」
「りゅうさん。」
「吉野に来た時にりょうに言うて僕のいる場所まで来ないようにすれば忠義殿は平穏に暮らせていたかもしれんのに。」
「いえ……きっと皇子様が別の手段を使って俺を……思っていたと思います。」
あの時からすでに不幸の方向に進んでいたなら僕は会うべきやなかったんやって思う。あの東屋で息をひそめて生きていればこんな危険な目に会わせることもなかったのに。
「僕がここに来てから何もないですか？」
そんな質問を投げかけると忠義殿は無言になってしまう。ここにいても人の心のちょっとした変化は察知できるから異変は気が付く。
「なにか……あったんですか？」
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「俺は今、九条でなく一条にいます。」
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「それは……」
「婿養子と言う形で一条家に。母上は納得されへんかったけど、皇子の命令でそう……」
「そうですか……命が無事ならええと思います。」
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どこかでこの場所にいないと言う安堵感。その真逆の感情は、彼は嫁を貰ったと言う事実。
恋焦がれても僕と一緒になることなど永遠にないという事。
傍にいる事すら出来ないと言う現状が僕に付きつけられているん。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
