冬の刻-10 ページ20
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「なっ……」
言葉なんか出るわけなくて視線を背後に向けると、子供の頃に見た書物に出てくるバケモノがそこに姿を見せていた。声なんて出るわけなく力が抜ける。
ヌメっとした何かが部屋から出て庭に降りていく。
足首に絡まるのは手やけど骨しか見えへん。
逃げたくて必死にもがくんやけど、骨の力が強く引きずられていく。
何が起きているか頭が理解できない状況。
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「いや……いやや……」
左右に首を振った瞬間に烏帽子が落ち床に落ちるんやけど、一瞬で消える。
声を上げようとした時やった。
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「この人は僕の獲物なんや。勝手に奪おうとすんな。」
急に俺の足に誰かの足で押さえつけられ足首にあった骨が消えていた。
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「りゅ……りゅうさ……」
彼の足が俺の足を押さえているだけで引きづられる事もなく、動くこともなくなって黙って見ていくしかできへん。
「最近、都の空気が澱んでおるってりょうが言うてたのがこういう事やったんやな。どこのアホがこいつらを連れて来たんやか。」
指が俺の額に触れると周りに蠢いていた黒い塊は一気に庭に向かって行く。何が起きているのか理解なんてできへんかったけど、分かっている事は彼の力に勝てないからかどんどん塊が集まっていく。
「忠義殿は昔の書物をよくお読みですか？」
「え……えぇ。」
「書かれていたでしょう？負の力に捕らわれた人は食われてしまうんです……心をこいつらに。」
塊が大きな集まり昔話に出てくる妖怪がそこにおった。
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「ひぃ……」
そんな声を上げると彼は小さく笑って俺に言うた。
「怖いですよね、僕も彼らと同じようなバケモノなんですけどね。」
きっぱり言う言葉を聞いて俺は彼を黙って見てしまう。刀など持ってないはずなのに気が付けば彼の右手には珍しい刀が握られ真っ黒な塊に向かっていた。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
