mystery...4 ページ4
透兄ちゃんの言葉を聞くなり、背筋をすーっと嫌な汗が流れた。一瞬動きの固まってしまった私に、梓さんがどうしたの?と顔を覗き込みながら、心配そうに尋ねてくる。
そんな彼女に、愛想笑いを浮かべて、ううん、なんでもない!と返せば、
大丈夫そうならよかった。お腹がすいたりしたら、言ってね!
と眩しいほどの笑顔を見せられ、とりあえず、うんと頷いておいた。
・
時が流れるのは無残にも早いもので、私がここ、ポアロに来てから3時間が経った。
ティータイムも終わり、お客さんが全くいなくなった状態になった時、ふと梓さんが声を上げた。
「そうだ!安室さん、今日はもうクローズにしましょうか」
「え?何故です?」
「だって、せっかく3年ぶりにAちゃんと会ったんでしょう?二人の時間を過ごしたって罰は当たりませんよ!ね?Aちゃんも、早くお家に帰りたいわよね?」
絶対帰りたくない。なんて思っていながらも、純粋な子供を演じ切るためにはそんな本音は隠し通さなければならないもので、
うん!早く帰ろっ!透兄ちゃん!!
と思ってもないことを笑顔で言ってのけた。
「こーら、我儘言うんじゃない」
なんて透兄ちゃんはいうものの、私の頭に手を置いて、
「でも、本当にいいんですか?」
と再三梓さんに確認をとっている。
「ええ!もちろんですよ!じゃあ、CLOSEって看板、出してきますね!」
そういって、ぱたぱたと梓さんは扉の方へと駆けていった。
「さあ、A、帰るよ。準備しなさい」
そう透兄ちゃんに促され、出していた漢字ドリルと計算ドリルをショルダーバックの中にしまった。
透兄ちゃんも支度が終わり、梓さんを先に返した後、戸締りを再度確認してから、ポアロを出た。
帰路についた時には、空は茜色に染まっており、夕日が私達の背を後押しするかのように輝いていた。
***
透兄ちゃんの普段生活をしているマンションに入っていく。
とてつもない量の寄り道をしたせいか、足が棒のようになってしまった。
「疲れただろ、今日はもう休め....と言いたいところだが、もうちょっと待ってろ」
そう私に背を向けていった透兄ちゃんは、何かを待っているようだった。
透兄ちゃんが何回目かの足踏みをしたとき、ピーンポーンとインターフォンが来客を告げた。
「開いている。入ってきていい」
”風見”。
その言葉を私は聞き逃さなかった。
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壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月19日 3時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
ミモザ - すっごく面白いです!次のお話も楽しみにしています!頑張って下さい! (2019年7月26日 11時) (レス) id: 9414b767e6 (このIDを非表示/違反報告)
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