mystery...3 ページ3
「ああ、この子ですか?」
と彼が偽の話を取り繕う前に声を上げる。
『私は、透兄ちゃんの従妹の安室 Aです!よろしくお願いします!えっと_』
「_梓さん」
小声でフォローが入った。
彼の顔を見てみると、彼は苦虫を噛み潰したような顔をしていて、ここの人たちには見せられないほどのようだった。
『梓お姉ちゃん!』
にこっという効果音が付きそうな笑顔を浮かべて、にししっと歯を見せる。
こんな風にすれば、たいていの大人はちょっと大人びた雰囲気が漏れていたとしても、安心してスキを見せてくれる。...と、かくいう彼女も例外ではなかったようで、安心という色が顔にはっきりと表れていた。
「も〜〜!安室さん!こんなに可愛らしい いとこちゃんが近くにいるんだったら、教えてくれればよかったのに〜〜!!」
ぷくーっと頬を膨らませて言う彼女は、たぶん無意識。
嗚呼、可愛いなぁ〜。お姉さんみたいに純粋な子供でありたかった。
そんなことを考えていると、ここでの安室透としての爽やかな笑顔を浮かべ、肩を引き寄せられた。
「嗚呼、すみません。この子、つい最近までアメリカにいっていたもので。僕も前に会ったのは3年くらい前なんですよ」
「そうだったんですね〜!どうりで、日本離れした格好なんですね!」
似合ってるよ〜!
なんて言いながら、しゃがみこんで目線を合わせてくるお姉さん。
『えへへ〜!嬉しいなぁ〜!梓お姉ちゃん、ありがとう!』
そういって、軽くぎゅーっとハグをした。その場のノリでお姉さんもハグを返してくれた。
「嗚呼、皆さん突然すみませんでした。お詫びに、バームクーヘンでもどうぞ」
完全に空気と化していたお客さん一人一人にバームクーヘンと紅茶やコーヒーのおかわりをサービスした透兄ちゃん。
……さすが、透兄ちゃん。
『お騒がせしてごめんなさい。久しぶりに透兄ちゃんに会ったから、嬉しくて舞い上がってしまいました。お食事の邪魔をしてすみませんでした!』
ペコリと勢いよく頭を下げる。
すぐには顔を上げずに、そのまま頭を下げていると、ぽんと頭に何かがのしかかった。
「さあさ、Aはしばらくここにいるのかな?……もし、いるんだったら、ここに座っていなさい」
そういって、用意されたのは透兄ちゃんと梓さんのいるカウンター席。
他のお客さんに迷惑をかけないためにも、大人しく従っておくか。
『うん!そうする!!』
はにかんだ私に透兄ちゃんは耳元である事を囁いた。
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壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月19日 3時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
ミモザ - すっごく面白いです!次のお話も楽しみにしています!頑張って下さい! (2019年7月26日 11時) (レス) id: 9414b767e6 (このIDを非表示/違反報告)
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