mystery...18 ページ18
終始ニコニコ笑顔をしたまま、車を運転していた零兄ちゃんは恐怖以外の何者でもなかった。
「さあ、着いたぞ」
零兄ちゃんのその一言でシートベルトを外し、車の外へ出た。
勝手に中に入って行っては不味いだろうから、零兄ちゃんが車に鍵をかけるまで待つ。
さあ、と零兄ちゃんが差し出した手の上に自分の手を重ね、ぎゅっと握った。
零兄ちゃんの手は温かくて大きくて逞しかった。さっきまで不安そうにしていた零兄ちゃんはもういない。今はバーボンとして組織に潜入している顔をしている。
倉庫のような所の重々しい扉を開き中に入ると、チャキッという音と共に黒光りする何かをこちらに向けてきた全身真っ黒人間。
「Aちゃん、久しぶりね〜」
そういって、こちらにやってきたのはクリス...ことベルモット。
彼女はこちらに来るなり、私を抱き上げた。
『うわっ!...お、下ろして!下ろしてよ!!クリスさん!!』
組織のことは何も知らないという設定で行こう。……たぶん、そう長くはもたないけど。
子供っぽく振舞っていたが、ベルモットに耳打ちされた内容に驚き、子供らしさを捨てる。
「ベルモット、今すぐその子を下ろしてあげてください」
「バーボン、あなた今日どうしたの?何か変よ?」
「僕はいつも通りですよ。その子は僕の大切な
「はいはい、わかったわよ。下ろせばいいんでしょ」
むすっと口元を結び、子供のように拗ねたベルモット。それに対し零兄ちゃんはベルモットに下ろしてもらった私をすぐに自分の前へと引っ張りそのままホールドした。
「戯れはもういいか」
さっきからずっとこちらに銃を向けている全身真っ黒人間こと、ジンが声を上げた。
「ええ、構いませんよ」
「あたしも構わないわ」
いつまで拗ねているよ、ベルモット。_まったく、なんでこんなに手が焼けるんだ?これも全部作戦の内だとでもいうのか?まあ、ベルモットのおかげであの方との接触もできたことだし、しょうがない。
零兄ちゃんの腕を振りほどき、ベルモットの元まで勢いよく助走をつけて走りこむ。ベルモットの足元よりちょっと手前でしゃがみ込み、彼女の元へジャンプ!
少し後ろに体勢が崩れたけど、しっかりと抱えてくれた。
「あら?Aちゃんはあたしの方がいいみたいね、バーボン」
謎の対決が繰り広げられていたようだ。無言の威圧がすごい。あとで覚えておけよ、と零兄ちゃんの視線がすべてを物語っていた。
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壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月19日 3時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
ミモザ - すっごく面白いです!次のお話も楽しみにしています!頑張って下さい! (2019年7月26日 11時) (レス) id: 9414b767e6 (このIDを非表示/違反報告)
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