イロコイ・ライン 5th【ars K.N】 (ページ24)

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184夢見てた。ページ24

キョロキョロした先生と、目が合った。

「お」って顔をした彼がこっちに歩いて来る。

私の顔を見て、ドアを背にしてたいろはちゃんも先生が来た事を察して振り返る。

「お待たせ」

マフラーを取りながら、先生が笑って

「初めまして、二宮です」

いろはちゃんに挨拶した。

「あ！初めまして！ごめんなさい、急にお呼び立てして...」
「ううん、どうせ暇だったし」

きゅっと上がる口角。
学校でよく見せてた顔。

自然と私の隣に座ってくれた、些細な事も嬉しくて

気を抜くと、脚をバタバタさせてしまいそう。

「あ、オレも何か飲も。お前、何飲んでんの？」

先生が私のカップを覗き込んで、見ただけでは分からなかったのか顔を近付けてクンクン。

「ミルクティか」
「ロイヤルミルクティです」
「それ、オレが淹れるのが一番ウマイだろ？何、浮気してんの」

クフ、って笑った先生はそのままカウンターへ歩いて行った。

う...浮気...
うわぁ...何か、使う言葉がえっち...

バクバクする胸をどうにかしたくて、ミルクティを飲んでみるけどぬるくなってる。

「...Aちゃん！？」
「......」
「何か...先生が私の想像と違ったんだけど...！色気あり過ぎじゃ無い！？あれで高校教師！？犯罪だってば！」

いろはちゃんがヒソヒソ声で興奮してる。
でも私だって興奮してる。

「違うの！学校ではもうちょっと爽やか...爽やかでも無いな、もうちょっとソフトってゆーか結構厳しめってゆーか...」
「ってゆーか、10歳も上って言ってたからもっと大人を想像してたけど私らと見た目の雰囲気変わんなくない！？」
「うん、そうなの！先生の周りだけ、絶対に時空が歪んでるよね！？年とってないんだよ！」
「なのに色気だけは若者以上にあるとか...そりゃ好きになるわー...」
「フフッ」
「何その嬉しそうな顔！まぁ、私のタイプではないけどー。フフッ」

そう言ういろはちゃんの好きなタイプは、背が高くて目鼻立ちもハッキリしてる男らしい系。

そんな話をしてる所に先生がコーヒーを持って戻って来た。

「今日は二人で遊んでたの？」

座りながら、私達に話しかける。

「ううん、いろはちゃんは仕事終わりなんです」
「仕事？」

いろはちゃんが「そこの劇場で取材してました」って言うと、先生は「へぇ、取材！今あの劇場でやってる舞台って確か...」って興味深そう。

先生といろはちゃんが話してるのを、不思議な気分で眺めていた。

だって、こんな日を私は夢見てたから。