第２９話 〜『皇帝』と『女帝軍師』と『吸血鬼』〜 ページ34
『皇帝』は笑顔を作って近づいて来る。
…あんたの笑顔ほど、不気味なものはないかもね？
今、何を考えてるの？
まぁ、あの時みたいなことは出来ないだろうけど。
「そう身構えないで欲しいな。…何もしない。本当だ。」
笑顔から、悲しそうな顔になった。けれど、天祥院の言葉を信じるべきじゃない。
「我輩達に何の用じゃ？天祥院君よ。ただ挨拶をしに来ただけならよいのじゃが。…何かするつもりなら、容赦しねぇぞ？」
天祥院から私を隠すように、零は私の前に立つ。最後らへんの口調が昔に戻っているのは、一応警戒しているんだろう。
「朔間君、僕はただ挨拶をしに来ただけだよ。さっきも言った通り、何もする気はない。だから、Aちゃんを隠すのやめてくれないかな。」
零に怯むことなく、天祥院は言う。
仕方がない、挨拶くらいはするべき？皮肉をたっぷり込めようか？…ううん、皮肉は言えないか。
私はあんたに、負けたんだから。
とりあえず零の前に出た。零はなんとなく心配そうな顔をしていた。大丈夫だよ。挨拶をするだけだから。
「久しぶりね、憎き『皇帝』さん？」
やや笑顔を作る。
「憎き、なんてひどいな。帰ってきてくれて何よりだよ。『女帝軍師』ちゃん。」
本当にそう思っているのかな？分かんないよ、あんたの心は、考えは。
今分かってるのは、何もする気はないということだけ。
「さてと、挨拶は済んだし、僕はそろそろ行くよ。また、学院で会おう。…朔間君が怖いからね。」
じゃあね、と手を振って、天祥院は車に乗った。
もちろん、手は振り返さなかった。
車が進んだのを確認し、
「私達も行こっか。」
零に声をかける。
「うむ。」
そう言って、私達は歩いた。
…ありがとね、零。
本当は、まだちょっと怖かったんだ。
あの『皇帝』が。
第３０話 〜拒否権がないのは知ってます〜→←第２８話 〜望まぬ『皇帝』との再会〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍刻 零紗(プロフ) - りあゆきさん» 了解いたしました！ちょっとずつ直していきますね。指摘ありがとうございます！ (2017年8月22日 22時) (
レス) id: caba9fa115 (このIDを非表示/違反報告)
りあゆき(プロフ) - 深海くんの口調を、できればひらがなにしてほしいです。あ、初コメ失礼しました (2017年8月22日 20時) (レス) id: 1a940d4794 (このIDを非表示/違反報告)
藍刻 零紗(プロフ) - ちょこれーとさん» ありがとうございます！コメント、めっちゃ嬉しいです(*^O^*)更新頑張ります！ (2017年7月2日 19時) (レス) id: caba9fa115 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと - テ*トお疲れ様でした！絵上手過ぎですか…°‐°無理のないように、更新頑張ってください！ (2017年7月2日 18時) (レス) id: f8ef116a38 (このIDを非表示/違反報告)
藍刻 零紗(プロフ) - ちょこれーとさん» ありがとうございます！そう言ってもらえるのは作者としてとっても嬉しいです(*≧∀≦*)これからも頑張るので、よろしくお願いします！ (2017年6月19日 16時) (レス) id: caba9fa115 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
