【あんスタヤンデレ短編集】狂いは全て、愛ゆえに。 (ページ19)

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影片みかと傷だらけの想い② ページ19

更に一週間後。

みかの傷は更に深く、痕も残って痛々しいものとなっていた。私が言葉を失うくらいだ。よくこれが教師や宗先輩にバレなかったと思う。

「…Aちゃん、これな、自分でやったんよ」

小さくみかが呟いた。カラスの鳴き声にかきけされるほど小さく、かすれている。

「なんで…？」

私の声もまた、小さくてかすれていた。驚きと心配が混ざって、新たな感情が生まれていた。表現しにくい感情が。

「Aちゃん、最近俺にかまってくれへんかったから…。寂しかったんよ」

ポタリ、一粒の涙をこぼして言った。揺れる瞳、震える体。幼子を見ているようで。

私はみかを優しく抱きしめた。

守らなくちゃいけない、そう思った。これ以上寂しい思いをさせてはいけない。こんなことをさせてはいけない。

傷を増やしては、いけない。

「ごめん、みか。…これからはそんな思い、させないからね。そばにいる」

そう言えばみかは小さくなにかを呟いた。完全にカラスの鳴き声にかきけされ、何を言ったかは分からない。

分からないけど、そのまま抱きしめていた。

＊＊＊

Aちゃんは俺を抱きしめてくれてる。

優しいからなぁ、こんな俺にも騙されるんよ。

わずかに体を震わせ、泣いているフリをする。馬鹿やなぁ、Aちゃん。

優しすぎるわ。だから、こうなるんよ。だから、これから地獄を見るんよ？

傷が少し痛むけど、こんなんでAちゃんを手にいれられたんやなぁ。

「やっと、俺のモノやね」

小さく、言った。カラスの鳴き声にかきけされて、聞こえてはいないやろ。

嬉しくて笑いそうになるのを堪えて、抱きしめかえした。

あぁ、やっと俺のモノ。

ずっと、ずーっと縛りつけるからなぁ。“一生”そばにいてくれるんやろ？

(自分の首を絞めることになった優しさ)

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