救済措置を実行せよ【名探偵コナン】

真実 ページ30

正体はとっくに知っている。
知りたいのはその理由、

江戸川コナンが江戸川コナンである理由。

灰原哀が灰原哀である理由。

車の中は沈黙が続く。鋭い視線が背中越しに伝わってくる。
本当、警戒心が強いな。
…別に組織の事もAPTX4869の事についても言ってはないんだけど。

あくまで、2人を観察していて気づいた程で話をした。

細かい所まで聞こうとは思っていない。

全て聞くつもりもない、本人達から本人達の名前が聞ければ今回の収穫としては十分だ。

まだ会って間もない関係性で深く入り込んで行くのは得策ではない。
深い部分など後でゆっくり聞き出していけばいい。
ここまで考えた所でフッ、と自虐的な笑みが零れた。

『(何処まで打算的な人間なんだ…)』

相手の警戒心を解きほぐし言葉巧みに誘導して聞きたい情報を時間をかけて聞き出す。
相手の気持ちなど二の次だ。
本当は、そこまでして聞き出す意味などない。
私の救済活動においては必要な事ではないから。

でも、ごめんね。
私もコナン少年に負けず劣らず知りたがりなんだよ。
知りたいんだよ。

『深く関わる気はないよ。』
「「！」」

2人の鋭く尖っていた瞳が大きく開かれる。

『私はただ君達が誰なのかを君達の口から知りたいだけ、それより先は私が無遠慮に踏み込んでいい領域ではない事くらい分かってるから……君達が大切な人を守ろうとしている事も分かってる』

哀ちゃんは微かに息を呑み、コナン少年は何か迷うような仕草をとる。そして決心したのか少し間を置いた後ゆっくりと口を開いた。









「……俺は、工藤新一高校生探偵ですよ」







私は、ただ知りたいだけ……。


それだけ。

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