検索窓
今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:77,622 hit

31話 ページ31

「……知らない天井」

背中には柔らかな感触。なにか暖かいものに包まれている。
肌触りのいいそれは、恐らくシルク。

どうして……。
ぼう、とする頭で考える。
そうだ、確か――。

逃げていた。
宵闇から。あいつらから。追手から。

はあ、とため息をついて周りを見る。
随分と綺麗な部屋だ。
高値の付きそうな調度品、絵画、カーテン、絨毯、テーブル、ベッド。

どういうことだ……?
ゆっくりと体を起こす。

「……っ」

頭を鈍器で殴られたような痛みが走り、顔を顰めた。

しん、と音が死んだような世界だった。
耳を澄ます。時計の秒針の動く音が聞こえる。
時計があるのかと、音のする方へ顔を向けた。
昼前、あと数分で正午になる。

ここはどこだろう。
きっと、エストラーネオファミリーの所有地じゃない。
なら、どこかのお人好しの金持ちの家か。

ベッドから出て、外を見てみようと、足を床に着けてみる。
柔らかな絨毯が足の裏に当たる感覚がして、ぐらりと膝が絨毯に沈んだ。

足に力が入らないが、窓までの距離はさほどない。
壁を伝えばいいか。
その考えに至り、ベッドの天蓋の柱に手を当て、どうにか立とうとする。

――ノックの音が、静かな部屋に響いた。

32話→←30話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- いえいえー当然の事を言っただけですー喜んで貰えて光栄ですよー それと、音域を広げる練習、頑張ってくださいー諦めずに頑張れば報われるはずですからねー ふむ、来月ですかーコトハ@白亜さんの小説は奥が深いのでーワクワクしますねー楽しみにしてますー (2015年8月21日 12時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます。そう言っていただけると作ってよかったと思えます…ありがとうございます。なるほど、その方法がありましたね…早速試してみようと思います。アドバイスありがとうございます。せめて再来月までに公開できるよう頑張ります…! (2015年8月20日 18時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
- 大丈夫ですー、ミーも返信遅くなってすみませんー 気に入った作品にコメントするなんて当たり前じゃあないですかー 音域が狭い、ですかーピアノで音を取ると結構出やすいですよーあとは、歌いたい曲を練習してー音域を広げるのもいいと思いますー 続編、待ってまーす (2015年8月20日 15時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます、遅くなってすみません!わわ、続編までコメントいただけるんですか…ありがとうございます!嬉しいです!音痴というか出せる音域が狭いんですよね…なので歌が上手い人羨ましいのです… (2015年8月19日 0時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
- はいー、頑張って下さいー続編出来るまで此処を見に来たりしましょうかねー 一番に作品を見に行ってコメントしたいですー…音痴?そんなのカラオケが悪いんですー声の質は様々じゃないですかー (2015年8月17日 11時) (レス) id: 81089b7519 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:コトハ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年6月13日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。