【IFルート】7話以降IF明日人さん (ページ28)

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…
ロシアにいた時よくランニングで教会を見かけた、近くのベンチに座るおばあさんはよくそう呟いていたのだ
俺はその横を何知らぬ顔で通り過ぎる
まさかその言葉を自分が言うことになるとは思わなかった。
救いを求めるべき主に贖罪を求めるなんてとんだ奴だとあの時は思った

(俺はどうしたんだろう)

まさか本当にキリシタンにでもなったのか
ここ空間には俺ともう1人いるはずなのに、俺には自分しかいないように感じる

俺は耐えきれず、静かに目を閉じた。

『"救おうとはしなかった
共に落とすことを選んだのだ"』

…

別の部屋に3人
俺達はバラバラに座っていた
1人は壁を、1人は天井を
俺はずっと花瓶のある机をを見たままだった

重い空気が続く、俺は灰崎から話を聞くと言ったんだ
言葉を発して相手を知らなきゃ
西陰の言った言葉を思い出し深呼吸をする

大丈夫、きっとまた同じような関係に戻れる
これはそのための話し合いだ
納得が行くまで…やらなきゃ。

前を向く

「灰崎、俺仲直りがしたい」
部屋に届く声で言う
「別に喧嘩してねーだろ」
視線の先は変わらない、言われてみればそうだ
勝手に互いに避けていただけな気がする
「えっと、じゃあ…なんで灰崎は俺を避けてたの？」
ヒロトは大きな欠伸をした
「別に…避けてねぇよ…」
灰崎の声はさっきよりも小さいものだった

「…じゃあ灰崎は避けてなかったってこと…？」
「ああそうだよ。てめーが勝手に避けてたんだ」
投げつけるように言った
(そうだったんだ、俺から…溝が大きくなるきっかけを作ってたのか…)
拳に力がこもる少し自信を無くしかけた
「異議ありだ、八つ当たりはやめろ灰崎。一星もいねーんだ、素直に話せ」
場に合わない茶化すような声
「してねぇよ！黙ってろ」
「…はぁ… さっさと終わらせろよ、今後俺は何も言わねぇからな。お前らが勝手に自分の中で完結させて勘違いのままなんてならねーように言ってやったのに」
「うるせぇ」
灰崎が静かに言うとヒロトは肩を竦めて部屋を出た

灰崎はさっきからこっちを見ない、これじゃあ灰崎の言いたいことも心情も全く分からない
俺は行き場をなくした目線をどうにか机の花瓶に納めた

(出来たことを繰り返せるのか、ちゃんと正しく前を向けているのか、首を突っ込もうにも灰崎が今どう思ってるのかすら分からないんじゃ…)

「…どうにもできない…よ…」