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…
食堂をでてから宛もなくふらふら歩く
廊下の奥から笑い声が谺響する
呑気な奴らがいたもんだな
俺はポケットに手を突っこみ壁にもたれかかった
元々ここに俺の知り合いなんてのは少ない
鬼道もいない今 この時間は本当にやることがなかった
「…知り合い、か」
2人思い浮かぶが1人はいない
もう1人は…、
俺は考えるのをやめて自室へ戻ろうと足を踏み出す
「…あーくっそ…」
だが2、3歩歩いて直ぐに方向を転換した
(様子くらい見に行っても良いだろ…)
俺は大股で廊下を早歩きした
さっきの笑い声が近づく、そこでやっと俺はそいつらが伊那国の連中だと気づいた
丁度いい、あいつの様子を聞こう と
「まさかこの世の終わりみたいな顔されると思わなかったんです」
ドクンと心臓が波打つ
(は?)
あの声だ
俺は再び動くのを止めた
(なんで また お前が居るんだ)
「そんなに俺びっくりしてたの!?」
「ッッ!!」
続いたあいつの声
回復したことへの安堵より先に、焦燥に駆られた
(丸め込まれたのか?弱みか?)
全てが悪い方へ向っている
俺の頭は冷静さを失いかけていた
あいつらの声が近付く
「ええ…ごめん…」
やめろ
言うな、 謝るな
保健室でのことと連結する
(あれからずっとお前の謝罪が頭を離れないんだ、やめろ…)
俺は耳を塞ぎ 廊下の角へ身を隠す
「…やめろ…」
あいつらの声が再び遠のくまで俺はそこに居た
…
濃い青が目の前を通り過ぎる
気づく気配はない
またこいつはなんだ 嘘でもついたのか
思い返すと腹が立つ
「おい…」
「なんでしょうか、灰崎君」
こっちに見向きもしない
煽ってやがる 確信犯だ
俺は前のようにこいつを掴み上げた
「てめー、次は何のつもりだ…」
このまま壁に勢いよく突きつけてやろうか
(あんな嘘までつきやがって…
巻き込んだ挙句 付き纏い今度は友達アピールかよ、
どういうつもりだ 次は誰を壊す気だ…!!)
「フッ…」
目の前の奴の口角が上がり、緩やかな孤が作られる
俺はふと心の中が読まれた気がした
(こいつッッ)
目線がかち合い対象的な色が映される
怒気を含んだ赤が
こいつの目に映った
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作者名:Rein | 作成日時:2018年11月19日 3時