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「えっ！？」
躊躇ってる間に部屋の電気が消えて、それに驚いてると私の体は大野くんの入ってる布団の中に引きずり込まれて
ガバっと布団を二人の上に被せられた。
「シー...」
部屋の電気も消えたし、布団の中だしで、真っ暗で。
どこに大野くんの顔があるのか全然分かんないけど、声が驚く程近くで聴こえた。
「先生、もう来てるかな...」
大野くんのヒソヒソ声。
「...暑い...」
ヒソヒソ。
体中に力が入って、ギュっと握った掌に爪が食い込んで痛い。
ドンドン、とノックの音。
「来た...！」
「入るぞー！消灯してるかー？」と、先生の声がして襖が開く音。
暫く沈黙。
きっと、先生が部屋の中を覗いてる。
そして、また襖が今度は閉まる音。
部屋のドアがバタンと閉まった音も聴こえた。
それと同時だった。
何か柔らかい物が、私の鼻に触れた。
みんなが布団から出てクスクス笑ってる雰囲気を、外から感じる。
大野くんもバサっと布団を捲って、外に出た。
電気が点いたのは、私も布団から這いだした時。
ヤバかったねー、とか
スリル満点！とか
みんなが楽しそうに話してる中、私は自分に何が起きたのかよく分かんなくてソォ...っと鼻を触る。
「ねぇ、五十嵐」
「はいっ！？」
布団に入ったからかさっきより髪がグチャっとしてる大野くんが、あんまり笑わずに私を見てた。
「どこだった？」
「...え？」
「ハズれちゃったよね？」
「...ハズ...レ...」
そろそろ戻るかー、って男子達が部屋を出て行こうとしてる。
「おーちゃん、行くよー」
大野くんは、友達の方は見ずに私を見たまま
「先、戻っててぇ」
そう応えて。
「五十嵐、ちょっと来て？」
私の手を取って、みんなの間を抜けて歩き出した。
男子にも、女子にも、凄く冷やかされて
でもそんなの、大野くんは全然気にしてないみたいに手を繋いだまんま部屋を出て廊下を歩き出した。
「大野くん...！どこ行くの...」
「あ...どこ行ったら良いんだろ」
振り返った大野くんは、「しまったー」って笑って。
「さっき狙ったのは、口だったんだけどなぁ」
「...え？」
「チュー、失敗した」
「チュ...！？」
顔が熱くなって鼻を押さえる。
「おれ、ずーっと五十嵐の事ね...」
「こらー！大野！五十嵐！部屋に戻れー！」
廊下の向こうから、先生が怒鳴ってる。
「続きは明日！」
「...あのっ、私も話がっ...！」
修学旅行は、明日まで。
・・・・・END・・・・・
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2017年2月22日 17時
