成長 ページ26
昔からの知り合いだったかもしれない、というナワーブの言葉に、さっきの試合のことが引っかかった。
｢視えた気がしたって？どういうことだ？｣
｢...うん｣
あのとき、神鬼のあの子を庇ったとき、姿を目視できないはずの彼女が"視えた"ような気がした。
咄嗟に身体が動いた。
いつもなら彼女のことは気にもせず、僕は僕で逃げようとしたはずなんだけれど。
何故か彼女を護ろうとした。
｢なんだかんだでお前らはきっと縁があるんだよ。やっぱりどこかで会ってたんじゃないのか？それこそお前がいた鉱山の守神___おっと｣
ナワーブが言いかけた言葉をすぐに引っ込ませた。多分僕は今とてつもなく酷く恐ろしい顔をしていたと思う。
でも僕は怒っている訳じゃない。
｢やめろよ〜、そんな怖い顔すんなって｣
｢...ごめん。別に怒っているんじゃない｣
｢じゃあなんでそんな...世界の終わりみたいな顔してんだよ｣
｢違うんだ...怖いんだよ｣
...そう、怒っている訳じゃない。
怖い。
僕が愛した神様が今同じ場所にいて、醜い僕と試合をして、醜い僕を助けようとしていた事が。
純粋無垢だったあの頃の僕の欠片は微塵もない。汚れて"化け物"のようになった僕を見て彼女はなんと思うだろうか。
綺麗な思い出が闇に葬られていくような感覚だ。今の僕にはきっと失望するに違いない。
今の僕を否定されるのが怖い。
愛していたからこそ、恐ろしい。
｢...君には"受け入れてもらえない"恐怖が分かる？それ以前に"相手がどう思っているかすらも察することが出来ない"...つまり"視えない"不安定さが分かる？｣
垂れた前髪を掻き上げてナワーブに詰め寄る。
こういうところもだ。
僕の情緒の不安定さは何年消費しても直らない。
案の定、困った顔をしたナワーブは"落ち着けよ"とでも言いたげに僕の肩を軽く叩いた。
きっとこいつも、"それは愛情じゃなくて信仰だろう"と思っているのだろう。
違うんだよ...。
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怜(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます！！沙羅さんのコメントが嬉しくて私も毎回栄養補給させて頂いてます(？) 他作品の方はこれからも続くので、どうか末永くよろしくお願いします...！ (2020年6月25日 0時) (
レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 完結おめでとうございますとお疲れ様です…！どんな結末になるんだろうと色々妄想(？)してたのですが、ちょっと切なくて甘い感じ、好きです…！今回も栄養補給させて頂きました(ｴﾍﾍ)、ありがとうございます…！！喫茶店の方も楽しみにしてますね！ (2020年6月24日 21時) (レス) id: 3aa856ffa1 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - ゆったり更新で大丈夫ですっ！気長に待ってますっ！！ (2020年6月17日 4時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ?mi?さん» ありがとうございます...！ゆったり更新ですがどうかよろしくお願いします！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてますっ！！ (2020年6月16日 3時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2020年6月6日 16時
