かつて死んだ彼女の名前【鬼滅の刃】

第七話 恋柱と蛇柱 壱 ページ19

仕事終わり、彼女は甘味処へと行った。

多忙な仕事の中で彼女の唯一の楽しみだったのが、甘味処で食べるあんみつだった。

それに────────


｢あ!Aちゃーん!｣


今にもこぼれそうなパックりと胸元が開いた隊服に桜餅のような三つ編みの髪を揺らしながら手を振る彼女は

炎の呼吸の派生にあたる恋の呼吸を持つ恋柱・甘露寺蜜璃だった。


『蜜璃さん。こんにちは』


｢久しぶりー!何2ヶ月ぶり?｣


彼女は葬儀屋に友人がおり、霊園屋敷に訪れた時に仲良くなった。

仕事にも理解がある為だいぶ助かっている。


｢すいません!三色団子8つとみたらし団子9つください!!｣


『私、あんみつとお茶ください』


美味しそうに団子を頬張る甘露寺を見てお面の下で微笑む。

そんな時


｢甘露寺!!....また一緒なのか｣


本当に嫌そうな声が聞こえる。

少し長い黒髪にオッドアイの目、首に蛇が巻かれれいる。

蛇柱・伊黒小芭内だ


｢伊黒さん!｣


｢甘露寺のためなんだ。葬儀屋といるのは絶対よくない｣


何故そこまで毛嫌いされるのかわからなかったが、あまり四月一日は何も思わない。

いつものこと。

日常。


『...うーん。じゃあ私そろそろ行きますね』


これ以上言われても面倒なのか彼女は食べかけのあんみつを残して立ち上がる。

それを甘露寺は止めようとする。


｢お客様。もしかして...鬼殺隊の方じゃないですか?｣


｢はい...そうですけど...｣


｢あ!やっぱり!私、ずっと会いたくて...｣


甘味処の店員が目を輝かせて近づく。
助けられた恩でもあるのだろうか。



するとすぐに般若のような形相になります小刀を取り出しそのまま甘露寺に振りかざす。

それを泊めたのは四月一日だった。


『それこそ本当に悪鬼ですね』


｢あんた...葬儀屋の!!｣


どうやら2人は知り合いらしい。

小刀を落とし、そのまま投げ技を女相手に食わす。

女そのまま上を向き気絶してしまった


｢....ありがとうAちゃん｣


『彼女は...旦那さんが鬼となった方です』


彼女は夫を鬼とされ、そのまま鬼殺隊に目の前で夫を殺されてからおかしくなってしまったらしい。

夫の着物を渡したのが四月一日だった。

そう彼女は淡々と話す。

殺された夫の復讐なのだろう。


鬼の気配や殺気には敏感な伊黒だが、人間の隠された憎悪には反応しにくい。

純粋な｢食べたい｣や｢殺したい｣とは違う、混沌としものとは違う。
ある意味鬼より怖い存在だ。

甘露寺を守れなかったことに歯を鳴らした。

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