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「できたぞ」

熱くなった鉄を水をかけて冷やす。

蒸気がおさまると色が徐々に染っていく。

その色は紅。

彼女と同じ鮮やかな色だった。

鋼鐵塚も彼女自身も驚いた。

日輪刀と同じ功績で作った鋏だ。色が染るということは彼女も同じ全集中の呼吸が使えるということ。

だが、彼女は鬼を切ったことも刀を握ったことも無い。

身に覚えがなかった。

だが、こうして鋏にはしっかりと色がついていた。


「お前....一体」


『....これ、その言ってた柱さんと同じなんですよね?なら、頑張ります。彼女の分も』


何を頑張るのか。漠然とした回答。

何故そう言ったの自分でもわからなかった。だが、そう思った。

珍しく真剣に言ったつもりだったのだが、鋼鐵塚はひょっとこの面で大笑いをした。

さすがにイラッとくるが、彼は四月一日の頭を乱暴に撫でて言った。


「葬儀屋に出来るものならやってみろ。お前にできるか見ものだな」




お土産に渡したみたらし団子を食べながら鋼鐵塚に聞いてみた。


『鋼鐵塚さんって歳はいくつですか?』


「37だ」


『へぇー....37』


予想よりも歳を食っていた事に驚く。
「なにか悪いか」と彼女を凝視するので、逃れるように目をそらす。

響凱が珍しそうにみたらし団子を見ていた。

般若の面からでわかるぐらい食べたそうに。


『食べてもいいんですよ?響凱さん』


「え?いや....小生は...」


遠慮がちにもごもごと口を動かしていると、みたらしを差し出されて思わず受け取ってしまう。

口に入れると、驚いたように肩が跳ねたが、すぐに幸せそうなオーラを出した。

その姿を見て四月一日もお面の下で笑った。



帰るため外に出る。

見送ってくれるのか鋼鐵塚も外に出た。

すると、懐から包丁を取り出し「折ったら殺すならな」と脅迫めいた警告をする。

彼女は臆せず頷き踵を返し屋敷へと響凱と一緒に帰っていった。





鋼鐵塚は中に入った。

誰もいない。

囲炉裏の火が消え、夜だから部屋は暗い。

だが、明かりはつけずに酒を瓶のまま飲む。


「今日はお前に似たやつがいたな。似ていないのに似ていた」


そこには誰もいないのに1人で喋る。


「鬼を連れていた。よくできた面だった。鬼の気配を上手に隠している....お前の理想とした鬼と人間の共存だったかもな」


そこには紅の鋏があった。
だが、バラバラになっており刃こぼれもしていた。


「鋏を使っている姿も見れないのが残念でならない」


お面の下から水が滴った。

第五話 三人の隊員 壱→←第四話 刀の話



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甘喰い(プロフ) - 鴉さん» 全然更新できなくてすいません!!感想ありがとうございます!!しっかり読み返して誤字など直していきます...ご指摘ありがとうございます!!助かります (2020年2月3日 18時) (レス) id: 8ab12c2783 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新されている分読ませていただきました。とても面白かったです。読んでいて思ったのは、結構誤字が多かったので、一度ご自身で読んで確認された方がいいかもしれません。突然このような指摘で申し訳ないですが、更新頑張ってください、応援してます。 (2020年2月2日 21時) (レス) id: f7552a9a46 (このIDを非表示/違反報告)
甘喰い(プロフ) - 涙さん» 毎度毎度ありがとうございます....申し訳ないです!引き続き宜しく御願い致します!! (2020年1月5日 9時) (レス) id: 1876c611a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 遊楽ではなく遊郭です (2020年1月5日 2時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
甘喰い(プロフ) - 涙さん» ほんとだ!!わざわざありがとうございます!!! (2019年11月22日 12時) (レス) id: 1876c611a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘喰い | 作成日時:2019年10月22日 20時

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