36話 ページ4
早朝の横浜は、薄い霧に包まれていた。未だ月明かりが残る街は、何処か不気味な雰囲気をたたえている。ひんやりとした空気がAの肌に触れ、Aは一つ身震いした。
Aは部屋に鍵をかけ、その鍵を部屋のポストに入れた。マフィアに行くのだから、へまをやらかすと確実に捕まることになってしまう。その時、奪われるものは出来るだけ少ない方が良い。逆に云うと、奪われて困るものは、持ち歩かない方が良い。例えば、家の鍵や、職場の人達のデータが入った携帯等、etc。
部屋の鍵など、無かったとしてもピッキングすれば何とかなる。
Aは社員寮を出ると、目的地へ向けて歩き出した。普段の倍以上のスピードだ。少しでも歩くのを止めれば、直ぐにでも引き返してしまいそうになる。そんな自分が酷く情けなかったが、それでも足の震えは止まらなかった。純粋に、怖いのだ。マフィアに行く、ということはつまり、マフィアに潜入する、ということと同義だった。潜入するには、手段は三つしかない。
一つ目は、マフィアの誰かに捕まること。だが生憎Aは、太宰のようにマフィアを抜け出したわけではなく、マフィアにリストラされた身である。マフィアとてこちらを捕まえるのは厭だろう。それに、マフィアに捕まる為に工作したとしたら、捕まるか死ぬかの二択になってしまう。かなりの確率で即死させられてしまいそうな気がするので却下だ。
二つ目は、強行突破すること。こちらならば捕まるよりも潜入出来る可能性は高いが、如何せん警備が頑丈である。異能で警備達のことを倒したとしても、Aの実力を上回る異能力者だってマフィアにはいる。そんな人間とご対面した場合、死亡するのは明らかだ。それに、態々苦労してまでマフィアに行く必要性を、伝言からは感じなかった。
となると、残りの一つ、侵入するのが一番だろう。身内のフリをして、マフィアに入るのだ。これは、上手くマフィアの人間を騙すことが出来れば、確実に中に入れる手段だった。それも、安全に何処へでも行けるという許可証付き。但し、騙すことが出来なければ死だ。
つまり、中に入れさえすれば後は堂々としていても問題ない。だが、それまでが問題だった。
30分後、Aはマフィアの領域にたどり着いた。一見普通の街並みだが、よく見れば至る所に黒服の男が立っている。道には人っ子一人おらず、車も路肩に止まっているくらいで、走っている車は一台もない。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
