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『……やはり、彼女を貰うべきではなかったんじゃないですか?』
武市という名の、高杉を筆頭とした組織における参謀を任されている男は、そう意見を唱える。
しかし高杉は耳すら傾けず、窓枠に座っては風を感じた。
着ている桔梗の柄模様の羽織の裾をはためかせ、ゆっくりと目を伏せる。
『俺がいなかったら、彼奴は今頃陽の当たらないところに居るだろうよ』
決して高杉は、恩着せがましくそう言った訳ではない。事実を述べただけであり、だから武市も眉を寄せた
『前当主の一人娘で、自分の他に近親者はいない……売り飛ばすにはもってこいの女だな』
そこまで言って、高杉は自身の発言をせせら笑う。
『ここに売られたっていう解釈もあるかもしれねェなァ……』
自嘲気味に零した言葉は、手にしているお猪口の酒の中へ溶けていく。
水面は微かに揺れ、高杉の表情が見えなくなる。
『ではなぜ、彼女を引き受けたのですか?』
武市の質問に、一呼吸置いた高杉は口を開いた。
口角を吊り上げるように話し、最後は酒を一気に飲み干す
『気に入ったんだ。……似合うだろ?』
そう言って笑う高杉に、武市は浅い息を吐く。
そして一つ小さく頷き、「とても」と零した。
『……分かりました。
晋助殿の決断を信じましょう』
武市は胸の中に渦巻く不安を一旦沈め、目の前では無くなったことにする。
しかし、彼はその不安を消すことはないだろう。
警戒しているのだ。彼女のせいで、高杉の覚悟が薄れること、腑抜けてしまうことを。
だがそんなことは口が裂けても言えず、武市は押し黙った
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ハル(プロフ) - あかあしえいたくんさん» いえいえ、遅くなんてないです! ありがとうございます!! 私=高杉があかあしさん以外にも浸透していくようにこれから頑張っていきますので、応援お願いします! リーマン沖田も高杉もサイコーですね!!( ´ ∀`) (2017年7月26日 19時) (レス) id: 15bb066393 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ミリアさん» めっちゃミリアさんのコメント色んな所で見たことがあって、自分の所には来るのか期待してたのですが、ようこそ!! アニメはあまり見ないので、Kは名前しか知りません。トリップも今の所書く予定はないです。お力になれずにすみません! コメントありがとうございます (2017年7月26日 19時) (レス) id: 15bb066393 (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - ハルさん、遅いですが第一章完結おめでとうございます!リーマン沖田も大好きですが、高杉も大好きです!何度も言いますが、私の中ではハルさん=高杉ですよ! (2017年7月26日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - すごく面白かったです。これからの作品がすごく気になります。もし他の作品を作る予定ならアニメKとコラボかトリップした銀魂の作品が読んでみたいです。Kを知らないならオススメです。説明が下手ならすみません。これからも体にきよつけて更新頑張ってくださいね。 (2017年7月23日 12時) (レス) id: e3c7f73b1f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» おはようございます! はい! 完結しました! まだまだ長いように思うのですが、意外と短いのですかね? ストーカーではなく、友達として付き纏ってくださいね笑 これからも仲良くしてください! 愛読ありがとう(´ ∀`) (2017年7月23日 11時) (レス) id: d86be63e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年6月30日 20時