だから、君の隣で笑わせて (ページ8)

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Ki 8 ページ8

藤ヶ谷が、俺に覆いかぶさるようにして、身体を寄せたと思った途端に
頭で認識するより早く、訪れた暖かな感触

気づくと、深く唇が合わせられて・・

俺達は、キスをしていた

「んっ・・・」

くちゅっと

合わさった瞬間の、艶めかしい音

藤ヶ谷の細長い指先が俺の後頭部をつかんで、しっかりと視線を合わせられた

「ん、ん・・・」

酒のせいか、少しだけアルコールの味と、藤ヶ谷から薫る、甘い香り
何度も角度を変えて、口づけられるうちに少しだけ苦しくなって、藤ヶ谷の薄い胸板を軽く押し返す

「ふじ、・・ん・・んんっ・・」

言葉まで貪られるように、激しくキスを繰り返されて、
こんなこと、あるわけがないと思いながら、だけど、目の前にいる藤ヶ谷とキスをしている自分にありえないほど気持ちは高ぶって、ずっとこのままでいたいと思った

酸素をうまく吸い込めず苦しいのに、藤ヶ谷のことを離したくなくて、強請る様に自分からも舌を絡めた

藤ヶ谷の舌先が俺の唇の端を舐めとって、生暖かな舌が差し入れられた
ざらっとした感触を確かめるように、蜜を絡めて、何度もキスをする

「あ・・ふじが・・や・・」

「な、目・・開けろよ」

藤ヶ谷の言葉通り、うっすらと目を開けると、藤ヶ谷の目と至近距離で視線が合う

その目には吸い込まれるように、視線を逸らせず、いっそう俺の中の欲望が大きくなっていく

今なら

今だったら

そう思いながら藤ヶ谷の瞳を見つめると、その目には、熱が宿っているように見えた
チュッとリップ音をたてて唇を離された唇

「ん、あ・・・」

つッと、つながっていた銀糸が、二人の間を結んでいて、ぷつりと切れた

酔った勢いなのか、ただの気まぐれなのか、

それでもいい

俺を見下ろす藤ヶ谷の瞳はやっぱり熱っぽくて、その目を見ていると、不覚にもいろんな感情が溢れてきて、目の奥に涙が溜まっていくのがわかった

諦めるなんて、できるわけがない・・

気まぐれでも、一夜限りでも・・

藤ヶ谷が・・欲しい

そう思った時だった

「ご、めん・・・」

さきほどの熱い目とは裏腹に、
一瞬で表情を硬くした藤ヶ谷が、それだけ言って、俺の上から身を起こした

焦ったような表情のまま、あっというまに俺の部屋を飛び出していってしまった藤ヶ谷の背中を見つめながら、

俺はただ、その背中にすがることすらできずにいた