だから、君の隣で笑わせて (ページ28)

今日:5 hit、昨日:14 hit、合計:186,409 hit

Ki 28 ページ28

「え・・・」

「藤ヶ谷だからじゃん・・・」

「え、北山・・・？」

藤ヶ谷が、素っ頓狂な声を上げる
俺が泣いて、戸惑っているのか、
それともコイツ、本当に鈍いんだろうか

多分後者だけど、なんでコイツはこんなにっ・・

「だから・・まだ藤ヶ谷のこと好きなんだよ！気づけよ、バカっ！！」

「・・・え」

もうどうにでもなればいいと思って、藤ヶ谷の驚いた顔を見つめながら、もう二度と言わないと誓ったはずの言葉を、伝えてしまった

フリーズしたように微動だにしない藤ヶ谷の驚いた顔を見て、俺は心底後悔した
また、やってしまったと思った

自分の愚かさをかみしめるように俯いて、ベッドの上で膝を抱くと、すぐそばまで藤ヶ谷が歩み寄ってきているのが見えた

「あの・・俺・・」

「イイから！！」

言葉を紡ごうとする藤ヶ谷を、制止する

結果はわかりきっているし、いくらなんでも二度も同じ相手に振られるのは俺だってキツイ

「藤ヶ谷の気持ちは知ってる・・お前が俺の事避けてるのもわかってるし、メンバーとしか見てないことだってわかってる！
だから、デビューが決まったときに・・諦めるつもりで告白したんだ・・自分にケリつけようって・・なのに・・」

そこまで一気に言い切ると、乱暴に涙をぬぐった

「藤ヶ谷の事・・諦めきれなくてさ・・はは、だせぇな俺。だから、俺なりに・・お前に嫌われないようにしながらも・・
でもやっぱりお前の近くに居たくてさ・・ウザくてごめん。今日も・・お前が俺と同じ部屋なんて、嫌だろうと思って、一人で時間潰してたんだ。でも、藤ヶ谷なんか不機嫌だし・・そうしたら、なんか・・こんなことになって・・」

言えばいうほどに、自分がみじめに思えて言葉尻が小さくなっていく
藤ヶ谷と目を合わせられなくて、目を伏せながら言うと、また涙が溢れそうだった

「藤ヶ谷に・・好きな人に、抱いてもらえるなんてこと・・もうぜってーないと思って。だから・・お前ならって思って・・。
ごめん・・まだしつこく好きで・・ごめんな・・」

藤ヶ谷は、俺の話をただ黙って聞いていた
あの、8年前と一緒だ・・

絶対に呆れられた

今度こそ、藤ヶ谷に愛想をつかされてしまったのかもしれない

「ごめん・・今度こそちゃんとあきらめるから・・」

抱えた自分の膝に顔を埋めるようにして俯くと、突然強い力で身体が引き寄せられた