だから、君の隣で笑わせて (ページ27)

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Ki 27 ページ27

「なにが・・はけ口になるだよ、俺のためならなんでもするだよ・・ふざけんな！！そうやって、誰にでもいい顔すんなよ！
へらへらすんなよ！俺以外にも・・求められたら、抱かせるんだろ？そういうとこ、ずっと前からムカつくんだよ！！」

早口でまくし立てた藤ヶ谷を、俺はただ他人事のように見つめていることしかできなかった

ふと、自分の胸元にあるシャツをぎゅっと握りしめていたことに気づく

あぁ、そっか

そういうことか

やっぱり・・勘違いすら、お前はさせてくれないのか

「北山なんか・・・嫌いだ」

かみしめるようにそう呟くと、藤ヶ谷はそのまま俺に背を向けるようにして離れていってしまった

哀しいのか、虚しいのか、自分でもわからないまま、目の奥が熱くなっていく

それと同時に、今までの藤ヶ谷への思いや、出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡り、俺は込み上げる感情を抑えることができなかった

思わず、ベッドの上に転がっていた枕をひっつかむと、藤ヶ谷のその大きな背中にめがけてぶん投げた

「って」

枕は、見事藤ヶ谷に命中して、鈍い音を立てて床に落ちた
ゆっくり、背を向けていた藤ヶ谷が俺のほうを振り返る

お前は・・俺の気持ちなんて知らないくせに

俺がどんなにお前のことを好きかなんて、見てもくれないくせに

「藤ヶ谷こそ、ふざけんなよっ！！！！」

気づくと自分でも、想像以上の馬鹿でかい声で叫んでいて、自分自身、そのボリュームに耳の奥がキーンとした

「藤ヶ谷こそ、なんだよ！俺の気も知らないで、勝手なことばっかいうなよ！！」

藤ヶ谷を思わず睨みつけて、感情のままにまくしたてた

「俺だってな！お前のそうやって言いたいこと言わないで勝手に思い込んで溜め込むとこ、嫌いだ！」

「っ・・」

嫌いだなんて、叫んでは見たものの、
どんなに嫌いになりたくても、俺は藤ヶ谷のことを嫌いになんてなれないことは知っている

だってもう、何年も前からお前しか見ていない

なのに

「藤ヶ谷・・だから・・・なのに・・ふざけんなっ・・・お前以外になんて、死んでも抱かれねーよ・・・」

呟いたその言葉は、情けないほど掠れていて、気づくと目の奥からぼたぼたと涙が溢れだしていた