だから、俺の隣で泣いてほしい

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あの日の夜から、１週間たっても、

北山は特に変わらずに、いつも通り俺から遠いところで、メンバーと楽しそうに戯れていた


「ミツ！今日このあと、なんだけど！！」

「あ、俺も行きたいなー！」


ニカや千賀と、楽しそうに笑い合っている北山の姿を遠くから盗み見た



あの夜があった日の翌日、なんとなく曇って見えた笑顔は、ただの二日酔いだったのだろうか

俺とキスしたことなんて、きっと覚えていないのだろう
もしかしたら、酒好きの北山のことだ
ノリでキス、なんてなんともない事なのだろうか



「あ、じゃぁ俺たち撮影行ってくるー！」



舞祭組チームが、連れ立って、楽屋を出ていった


「・・・・」

「・・・・・」


玉は、ドラマの撮影が押しているようで、遅れてくると先ほどマネから連絡があった
まえあし組で撮影の俺たちはしばし待機となってしまった


強制的に、二人きりになった楽屋

会話がない、沈黙の空気が、重い




これ見よがしに話しかける気にもなれずに、そっと小説のページを開いた

北山は、俺と同じように、何かブックカバーのかかった本を読みふけっているようだった


会話のない部屋の空気が、しんとしたまま流れていく




「おー！北山ー！」


突然のノックと共にドアが開いて、静かな楽屋に、突如響き渡った声


「あ、大倉・・」


長身の、整った顔がこちらを見てふにゃっと笑った途端に、北山の顔がパッと華やぐ

わかりやすすぎ


俺との空気に耐えられませんでした、とでもいいたげに、大倉君のほうへしっぽを振って飛びついていく



「なんか、キスマイ隣のスタジオにおるってきいて、暇やから顔見に来た〜！」


「え、お前らもいたの？」



ソファで並んで、楽しそうに話す北山を見て、胸が痛んだ


「藤ヶ谷も、久しぶりやなぁ」

「こんにちは」



軽く会釈する

俺が、また小説に目を戻して、時折本の隙間から二人を窺うと、お互いに視線を合わせて、楽しそうに、
ときに、その肩に触れたり、大きな目を、ぐっと細めて、くしゃっと笑っていた


その笑顔は、決して俺には向けられないのに

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