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side Ki ページ36

「き・・たやま・・」

「・・・」



目の前にいる藤ヶ谷は、まだ点滴の針が刺さって、いろんな医療用のコードがつなげられていて、
包帯の痕も痛々しかったけれど、

それでもあの日、俺の上でぐったりと赤に染まっていた藤ヶ谷よりは
何倍も元気そうに見えた


「ニカ・・・もうやめとけ」



俺が静かにそういうと、ニカは小さくゴメンと言ってうなだれた

横尾さんと宮田が、優しくニカのことを抱きしめて、ゆっくりとドアのほうへ促してくれた



「俺達、廊下で待ってるよ」



そういってくれた、横尾さんにつられるように、みんなが病室を後にした
藤ヶ谷と二人きりになった個室

シンとした空気が、流れた




「北山・・」

「ごめん・・」

「え」

「ごめんな・・」

「どうしたの・・あ、仕事、忙しいって・・」




目の前で、藤ヶ谷が話している

呼吸して、動いている

ただそれだけのことなのに




ただそれだけのことがどうしようもなく、俺の心を打つ

形のない未来しかみえなかった、あの時の俺は、
ただ藤ヶ谷の、赤く染まった身体を抱きしめて泣くことしかできずにいた



コンクリートの冷たい床で、苦しそうに呼吸をしていた藤ヶ谷の姿が
ずっと頭から消えなかった

抱きしめた、欲し身体から血の気が引いて、冷たくなっていく血の匂いと藤ヶ谷の温度を感じながら
俺はただ震えていた



今、目の前に・・誰よりも

誰よりも会いたかった人がいる


「ごめん・・・な・・」




藤ヶ谷の、細い、手首をぎゅっと握った



「どうしたの・・北山、なんか変・・」

「ん・・ごめんな・・」




ぎゅっと握った手は、温かくて、涙が溢れた

その手を、ぎゅっと、藤ヶ谷の手が弱い力で握り返してくれた

それだけのことが、どうしようもなく嬉しんだ


「北山・・泣かないでよ」



そういった藤ヶ谷は、穏やかな顔で、眉を下げて笑った


その藤ヶ谷のほうを見て、俺もぎこちなく微笑み返した


好きだよ、好きだ


今、俺が言える、精一杯の気持ちを、飲み込んで、その手をぎゅっと握ることしかできなかった

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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時

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