検索窓
今日:26 hit、昨日:2 hit、合計:200,232 hit

side Ki ページ28

「お前は、何もされてない?」


久しぶりに来た、藤ヶ谷のマンション
あの日と同じ、キレイにベッドメイクされたセミダブルのベッドがふと目に入る


「お前、は・・?」


藤ヶ谷の言葉に違和感を感じて、問い詰めた


「おい、お前、何かあったのかよっ!!」


藤ヶ谷との距離を詰めた俺に、藤ヶ谷が急に押し黙った
不安が俺を支配して唇が冷たくなっていく

「いえよっ!」

「っ・・・」

「お前、俺に言いたいことがあって呼んだんだろうがっ・・」

藤ヶ谷が、観念したように、ジャケットのポケットから、くしゃくしゃになった紙きれを差し出してきた


「なに・・?」

「ファンレターにまぎれて、入っていた・・」

「な・・」

「むしろっ・・大半がこの文面だった。大量に・・俺宛に送りつけられてきていて・・」


そこに並んだ言葉

『復讐はまだ、始まったばかりだ』


それはもう、いたずらとか、愉快犯とか
そんな考えを一蹴するのに十分だった


「ニカ達に・・毒もったのも、この一環だってことかよっ・・」


医者の、先ほどの言葉がよぎる

最悪、死んでたっておかしくない・・


「藤ヶ谷、お前・・」


俺が、視線を送ると、俺の心を読んだ様に、小さく頷いた


「気をつける・・よ。お前も、な」


考えてもわからないのは、動機だった
いったい、何を理由にこんなことしてきやがる

メンバーを順に傷つけて・・

順に・・


「あ・・玉ッ・・」


俺が、そう呟くと、藤ヶ谷が宥めるように俺の身体を支えた

「大丈夫っ・・今は、ドラマの撮影中だから・・」

「わかんねーだろっ!!アイツらだって・・仕事中にっ・・」

「きたやまっ・・」



ぎゅっと、回された藤ヶ谷の腕

その長い腕によって、すっぽりと俺の身体は藤ヶ谷の胸の中に閉じ込められた



「大丈夫・・大丈夫だよ・・」


子供にいいきかせるように、藤ヶ谷は俺の身体を抱きしめて、しばらくそうしていてくれた
ドクドクと聞こえる、藤ヶ谷の心音


「わかってるよ・・北山の気持ちは・・わかってるから」


その声が、心地よくて、俺は藤ヶ谷の背中に、同じように腕を回してしがみついた


「あ・・ごめっ・・俺・・」

「いいから・・そのままでいて」


察したように、俺の背中に回した腕を、ぎゅっと抱きしめる藤ヶ谷
藤ヶ谷の香りに包まれながら、俺は身を預けて目を閉じた

もうだれも、傷ついてほしくない
そんな俺達の願いは、無残にも打ち砕かれることになることを



この時

俺は知らなかった

side T→←side Ki



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (210 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
623人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ピンクピーチ(プロフ) - えみさん» ありがとうございます^_^まだ序章ですが、これからもドキドキハラハラしていただけるよう更新していくので、お楽しみくださいませ!! (2019年9月22日 11時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
えみ - ハラハラもあり恐怖感もあり、すっごく気になるお話ですね!!おもしろいです!!続き楽しみにしてます(*´∇`*)応援してます!!! (2019年9月22日 1時) (レス) id: 593c5b68c6 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 北山アマージョさん» ハラハラしながら、楽しんでいただけたら嬉しいです^_^以前から、お気にかけて下さりありがたいです!!これから、本編も盛り上がって行くので、引き続きよろしくお願いします^_^ (2019年9月20日 22時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
北山アマージョ(プロフ) - こんばんは!今までとは趣きの違うお話しハラハラします!怖いですが、楽しみにしてます!以前も何度もリクエストさせて頂いてたんですが、ニックネーム変えてしまったのですみません。 (2019年9月20日 21時) (レス) id: eca4a61663 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年9月12日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。