みんなの宝物 13 ページ38
智Side
ネクタイの結び目に手をかけながらリビングにいくと、
朝食のいい匂いにまじって
コーヒーの香ばしい香りがふわ〜と漂っていた。
今日は天気もいいし、爽やかな風も吹いてるし、
なんて清々しい朝………
と思いきや、またまたリビングには
妙な空気が漂っていて…
「はよ…」
翔「おっ、おはよ…」
Aと翔の気まずそーな会話。
お互いどうでればいいのかわからなくて
さっきからずっと視線を泳がせている。
まだちゃんとごめんなさい言ってないからね。
翔からあのとき部屋であった話は聞いてるし、
和からもAが翔にぃに
謝らなきゃって言ってたってことは聞いてるから、
2人とも怒ってるわけじゃないのは知ってるんだよ。
でも2人はお互いにまだ怒ってると思ってるから
なかなか声をかけられないの(笑)
結「ね〜、ままとしょーちゃ、けんかぁ?」
翔「はっ?」
「えっ?」
一晩たってすっかり元気になったゆいちゃんが
2人のおかしな様子に気づいたようで、
不思議そうに首をかしげている。
まさか指摘されると思っていなかったであろう2人は
そろって驚いたように声を出していた。
結「けんかはめっ、よ。しょーちゃー、めっ」
翔「えっ俺だけ?
俺が悪いの? ゆいちゃん」
智「そうだよねぇ。
翔ちゃんがいけないんだよね〜(笑)」
結「そーよ。めっ!!
しょーちゃ、ごめんさいは?」
翔「えっ、あぁ……ごめん、なさい」
ゆいちゃんの勢いに乗せられて
Aにペコッと頭を下げた翔。
Aもすぐに、ごめんなさいって謝っていた。
翔「ほんと悪かった。ごめんね。
Aの気持ち、もっとよく考えるべきだった」
「ううん。私の方こそ、酷いこといってごめんなさい。
ほんとはあの時、そばにいて…ほしかったん…だけ、ど…」
翔「えっ…お、おう…///」
智「ふふっ。なーに照れてんの」
和「翔にぃ顔赤い(笑)」
翔「うるせぇ!! 気のせいだって」
なんかまたまた変な空気になって
仲直りの握手をするときも気まずそうにしていた2人。
でもそんな空気を変えてくれたのもゆいちゃんで…
結「ままみてぇー!! できたぁー!!」
「えっ、すごい!! ゆい、できたね!!」
一つだけボタンの留まっている通園服。
ボタン掛け違っちゃってるけど
でもそれはゆいちゃんの努力の証で…
嬉しそうにぎゅっと抱き合っている親子。
周りを見渡すと、
弟たちが微笑みながら、2人の姿を見つめていた。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
