みんなの宝物 8 ページ33
翔Side
翔「ただいま。Aは?」
家に帰ると抱き上げたゆいを
ユラユラ揺らしながらあやしている智にぃと、
布団を丸めて抱え込んでいる和がリビングにいた。
智「あっ、おかえり。
Aは2階にいるよ。一度も降りてこないけど」
苦笑しつつも、今は様子を見よう?
と言った智にぃに頷いた俺は、
カバンを床に置こうと腰を屈めたとき
端っこに投げ捨てられているパジャマを見つけた。
翔「ゆいちゃん、トイレ間に合わなかった?」
和「んー、まあね。
でも、こんなときだから」
仕方ないよねって言いながら
ズボンとパンツを拾い上げた和は、
布団と一緒に洗うためなのか
お風呂場の方に向かっていった。
最近おねしょなんてなかったのにな。
やっぱ不安定になってんのかな。
結「ま…まぁ……」
智「ん? …寝言かな」
小っちゃく聞こえたゆいの声に
胸が締め付けられる。
あんなに怒られても
大泣きするほど厳しくされても、
それでもママを求めてる。
ゆいにとってママは特別な存在で、
それはAにとっても同じで。
そんなことわかっていたのに…
Aの険しい表情も
苦しそうな声も
全部助けてってサインだったんだろうなって。
愛する娘にこんな思いをさせなくちゃいけなくて
すっげぇ苦しかったはずなんだ。
ついカッとなって酷いことまで言ちゃったけど
Aの苦しさも俺が受け止めてやるべきだった。
あの状況で悩んでること話せって
そんなの無理だよ。
俺がよけいに
話しづらい空気にしちゃってたんだよな…
でも、このままで一番つらいのは
Aだと思ったから。
全部はきだして、楽になってほしかった。
この性格、どうにかしないとな…
冷静さが足りないよ、俺には。
智「翔、そんなに気になるならさ、
Aの部屋行ってくれば?
行って話しておいでよ。
ついでに、ご飯だよって言ってきて? (笑)」
翔の気持ちなんてすべてお見通しだよ
みたいに笑った智にぃは、
ゆいを片手で抱きながら、俺の背中をポンと押してきた。
そうだな…行ってくるか…
今行かないと
仲直りのタイミング逃しそうだしな…
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
