えまーじぇんしー 7 ページ43
智Side
雅「さとに…もう、食べらんない…」
智「うん、いいよ。
いっぱい食べれたね。」
和「さとに、俺も……」
智「ん、そこに置いときな。」
和「ごめん…残しちゃって…」
智「いいんだよ。
ちょっと多めに入れてあったからね。
無理して全部食べなくても大丈夫。」
みんなやっぱり食欲がなかったのか、
ごちそうさま、とおぼんの上に戻されたお椀の中には、
少しずつおかゆが残されていた。
でも正直、ここまで食べてくれると思わなかったから。
これだけ減ってれば十分だ。
智「はい、じゃあこれお薬ね。
粉薬だけど平気?」
いつもなら
苦いとか不味いとか嫌だとか文句を言うんだけど、
今日は眉間にしわを寄せながらも
頑張って飲んでくれた。
やっぱり、僕に迷惑かけなようにって、
気を使ってくれてるんだろうね。
こんなときくらい、我儘言わせてやりたいけど…
でも今回はみんなに頑張ってもらわないと
間に合わないから、ありがたいよ。
智「ゆいちゃ〜ん、起きて〜。
ご飯だよ?」
ひとまずみんなの食事が片付いたところで、
まだ寝かせっぱなしだったゆいちゃんを抱き上げる。
寝起きは機嫌が悪いからなぁ。
すんなり口を開けてくれるかな……
智「おっ、ゆいちゃんが好きなお魚が入ってるね〜
おいしそうだなぁ〜。ほら、あーんって。」
結「んぅ、んっ……ふっ、ふっ……ふぇ…」
智「ん。よしよし。やだったね。」
口元にスプーンを近づけても、
首を振って泣き声をもらすだけ。
何度かトライしたけど
僕の胸に顔を押し付けて本格的に泣き始めちゃったから、
一度僕の部屋に連れて行った。
冷蔵庫から持ってきた
ゆいちゃんお気に入りのリンゴジュースを机の上に置き、
ガクンと膝が折れそうになるのに耐えて
ベッドの端に腰を下ろす。
階段昇っただけなのに、ものすごい疲労感。
よかった…途中で倒れなくて…
僕だけならいいけど、
ゆいちゃん抱いたまま倒れたら大変だ。
智「おいしい? リンゴ好きだもんねぇ。」
結「んぅ…んぅ…」
喉が渇いていたのか、
両手で小さなパックを握りしめて
ジュースを飲んでいるゆいちゃんは、
機嫌もよくなってだいぶ落ち着いている。
んっく、んっく、ってストローを咥えて
一生懸命ジュースを吸い続けている姿は、
赤ちゃんの頃から変わらない。
そんなに必死にならなくても、
ジュースは逃げていかないのにね。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
