0歳のママ 10 ページ33
和也Side
家に帰ると、
ちょうどAが車に乗り込むところだった。
車の中でも痛みに苦しんでいるAを
励ましながら病院に到着し、今はベッドの上。
先生に診察もしてもらい、
順調ですよって言葉にAの表情も緩んだ。
だけど、そんなのも一瞬のことで、
またすぐに苦痛に顔を歪める。
ここまで10時間近く陣痛に耐え続けているAは、
もうかなり体力を消耗しているはずだ。
翔にぃも仕事を切り上げて病室に来てくれたけど、
そんなのに気付く余裕もないみたい。
翔「A!!
だ、大丈夫なのか!?」
潤「翔にぃ、うるさいよ〜」
雅「今Aも赤ちゃんも頑張ってんの!!
大きい声出したらびっくりしちゃうって。」
翔「あ、あぁ・・・ごめん。」
家をでる前より、はるかに激しい痛がり方を見て、
翔にぃも慌ててるんだろうね。
俺、何すりゃいいの? ってウロウロしている翔にぃに、
智にぃが身体擦ってあげたら? って言ってる。
でも、翔にぃはなかなかAに触れられないみたいで・・・
翔「A、大丈夫?」
「しょ・・にぃ。うぅっ・・いったい!!」
翔「えっ・・痛い?
ど、どこ擦ればいい?
・・ってか擦っていいのか?
えーっと。
あぁ・・お、お腹? 腰?
ねっ、ちょっと・・・」
「んー、もぉ!! ここ!! ここぉ!!」
翔「あっ、すいませ・・・・」
翔にぃがあまりにも、もたもたしてるから、
Aに怒られちゃったね(笑)
智「落ち着きなよ、翔。
慌て過ぎ(笑)」
翔「うっさいなぁ。俺も余裕ねーんだよ(笑)」
「うぅっ・・あぁ・・はぁ、はぁ・・
・・しょ、にぃ・・もっとこっち。」
翔「ん? ここか?
もうちょっとだからなぁ。頑張れ。」
「うん、がんばる、うっ!!・・んん・・」
智「痛いね・・・声、出しといていいよ。
息もちゃんと吐いてね。」
ここまでくると、
もう俺らにできることは限られてる。
水を飲ませてやったり、
背中や腰を擦ってやったり、
汗を拭いてやったり・・・
そんなことしかできないのがもどかしいけど、
少しでもAの助けになれば・・・
そう願いながら、
強く握りしめられたAの手を、両手でそっと包み込んだ。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年3月23日 18時
