検索窓
今日:14 hit、昨日:14 hit、合計:869,340 hit

膀胱炎 9 (翔) ページ20

雅紀Side


病院に着いた翔にぃは、ベッドの上で丸まっている。


そんな翔にぃの後姿を困ったように見つめている智にぃ。


何を問いかけても、
翔にぃからは同じ言葉しか返ってこないんだ。





智「トイレ、行ってきて?」


翔「・・・・・やだ」


智「じゃあ先に診察させて?」


翔「・・・・・やだ」


智「そんなこと言ってると、帰れないよ?」


翔「・・・・・やだっ」



甘えん坊の翔にぃも可愛いなって思ったけど、
検査や診察をしなきゃいけない智にぃは大変そう。



尿検査をするらしくて採尿コップを翔にぃに渡そうとしてるけど、
受け取ろうとはせず、手で払い続けてる。





智「せっかく頑張って病院に来れたのに〜
検査しなかったら意味ないでしょ?
ほら、トイレ行こう。」


翔「・・・・・やだって・・・」


智「コーくんとの約束は? どうするの?」


翔「・・・・・・・ん・・・」



さっきまでヤダしか言わなかった
翔にぃの反応が変わった。


コーくんって、俺には何のことかわからないけど、
きっと大事な約束なんだろう。





智「またお散歩行くんだもんね。
翔のこと待ってるんだよ? ほら、行こう?」



智にぃもあと一押しだと思ったのか、
少し強引に顔を上げさせて、目の前に手を差し出した。





翔「・・・・・・・だ・・」


智「ん? ちょっと身体起こすよ?」


翔「もー!! やだって言ってんの!!」



腕を掴んだ智にぃの手を振り払って、
胸をドンと突いた翔にぃに、智にぃはピクッと眉を動かした。


突かれた胸を押さえたまま、動かないし、しゃべらない。





雅「さ、さとに・・・? 大丈夫?」


智「・・・・・・もう、しょうがないか。」



下を向いていて表情が見えなかったから
不安に思って顔をのぞきこむと、
智にぃはため息をついてからボソッとつぶやいた。


再び身体を丸めてしまった翔にぃに近づいて、
そばにあったイスに座る。


いったいこれから何が起こるのかわからず、
ただ突っ立っていた俺は、次の瞬間まさかの言葉を聞いた。





智「そんなに嫌だって言うなら、ここでやるしかないね。
カテーテル入れるよ。」


雅「えっ・・・・・」





ここでって・・・


俺も盲腸になって手術した時に入れられたけど、
すっげー気持ち悪かったよ?


入れるときは覚えてないけど・・・・


でも、めちゃくちゃ痛いっていうじゃん。





智にぃ・・・本気でやろうとしてるのかな・・・

膀胱炎 10 (翔)→←膀胱炎 8 (翔)



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (422 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
457人がお気に入り
設定タグ: , 医者 , 病院
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちさ | 作成日時:2013年3月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。