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膀胱炎 3 (翔) ページ14

翔Side


コーくんとの約束の日。


夜勤を終えて帰る準備をしてから病室をのぞくと、
ドアの方を向いてベッドの上で正座をしているコーくんがいた(笑)





浩「あっ、せんせー、おそいー!!」


翔「ごめんごめん。お待たせ。」



俺の姿が見えるとパァッと笑顔を咲かせて、
ベッドの上でピョンピョン飛びはねている。


こんなに喜んでくれると、嬉しいなぁ。





俺が上着を着させてあげている最中も全然落ち着かなくて、
ずっと“はやくっ、はやくっ!!”って腕をパタパタさせてて。


数日前まで寝込んでいたとは思えない。





コーくんは気管支が弱くてね、
この前も小さな発作が出たっていうから
もうちょっと回復が遅くなるかと思ったんだけど。


楽しみなことがあると、元気になるのも早いみたい。


病は気からってことなのかな。





浩「せんせーのお洋服もあったかそうだね。」


翔「え? うん・・今日は寒いって言ってたからね。」



・・・なんて、そんなの嘘。
寒いどころか春も近づきポカポカ陽気。


それなのに、なぜか俺の身体は
ゾワッと鳥肌立って小刻みに震えている。





限界だってのはね、気付いてたんだよ。


昨日やっと何週間も準備していたオペが終わって、
気が抜けたせいってのもあるんだろうけど。



明け方になって寒気がしてきたから、
おそらく熱が出るんだと思う。


それに加えて下腹部の痛みも続いてて、
少し悪化した気さえするし・・・





いつもならまっすぐ家に帰ってベッドに直行するところだけど、
今日は大事な大事な約束が入ってたから。


コーくん、この日のために嫌いな注射も頑張ったんだ。
俺の都合で中止にすることなんてできない。





浩「・・・せんせー、しんどい?」


翔「ん? そんなことないって。元気、元気。」



この子は本当に鋭い。
ちょっとでも気を抜けば、すぐにバレてしまうだろう。


できるだけ笑顔を作って、気合入れないと。





翔「よしっ、いくぞー、コーくん。
はい、おいで。」


浩「わーい!! せんせーのだっこぉ〜♪」


翔「おっ・・うぁっ」



両手を広げた俺に飛びついてきたコーくんの勢いが想像以上で、
フラフラする身体はまったく踏ん張りが利かなかった。


バランスを崩した俺はそのまましりもちをついてしまって・・・


なんとか笑ってごまかしたけど、
倒れた俺の胸に抱かれているコーくんを不安顔にさせてしまった。



やっちまったなぁ〜
これ以上心配かけることだけは避けないと・・・

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作者名:ちさ | 作成日時:2013年3月23日 18時

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