肋骨骨折 1 (潤) ページ39
潤Side
猛暑続きで過酷だった夏も、そろそろ終わろうとしている。
そんなことを感じることが、最近は多くなった。
日中はまだまだ暑いけれど、夜なんかは窓を開けるとさわやかな風が入ってきて、すごく気持ちがいい。
夕飯を食べ終わってから、ビール片手に外にでて風にあたってみたりとか。
風呂あがりに自室からベランダに出て空を見上げてみたりとか。
一日の疲れを癒したくて、ここ数日こんなことばかりしてた。
だからだろうか。
潤「へっくしゅ！…あ゛ー」
翔「あーあー、酷いな〜。ほら、ティッシュ」
渡されたティッシュで鼻をかみながら、「今日はおとなしくしてるんだな」と肩に手をおいてくる翔にぃを横目でチラッと睨む。
自業自得だということはわかってるよ。
翔にぃを恨むことはただの八つ当たりだってことも。
でもその言葉だけは、どうしても受け入れられない。
潤「無理。約束してるから」
翔「別に野球なんて今日じゃなくても出来るって。
雅紀も行きたがってたし。今回は諦めて、また今度一緒にさ」
潤「いつでも出来るわけじゃないんだよ。
なんにも知らないくせに」
仕事をしてる俺らが集まれる日なんて限られてる。
今回だってほぼ半年ぶりなんだ。
なのに、そんなこと簡単に言わないでよ。
翔「雅紀も和もいないで、潤だけで平気なの？
やっぱり今日はおとなしく…」
潤「もー！平気だって！俺は子供じゃないんだよ！」
元々は雅にぃと和にぃが所属していた野球チーム。
そこに俺も入れてもらったんだ。
確かに…最初はチームに馴染めなかったけど…
でも今では野球以外でも飲みに行ったりするくらい、いい仲間になってる。
翔「そうか。こんな言い方なかったよな。ごめん」
潤「いや…俺こそ、怒鳴ったりして…ごめん」
昔ならこのまま言い争いになっていたかもしれない。
でも、二人とも大人になって…
じゃないな。俺はまだまだ子供だ。
大事な日に風邪引いて、そんな自分にイライラして、翔にぃに当たってしまった。
悲しい顔させてから気づくなんて、自分勝手にも程がある。
翔「楽しみにしてたんだもんな。いいよ、行っておいで。
その代わり、辛くなってきたらすぐに休んで。
雅紀も心配してたからさ。その気持ちだけは、大事にしてやってよ」
雅にぃは朝早くから仕事関係で出かけている。
忙しそうだったし、今朝は一瞬しか顔を合わせていないんだ。
なのに…
潤「気づいてたんだ…」
翔「案外さ、よく見てんだよ、あいつ」
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
