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夏の思い出 3 ページ27

和也Side


雅にぃや智にぃの前では冷静な感じで振る舞ってたけど、内心はそわそわしてた。

俺には大好きな家族がいて、毎朝毎晩一緒。
イベントなんてなくても平凡な日常で十分。
寝て起きて…って繰り返しだけでも充実してるんだよ。

でもさ、やっぱりバーベキューなんて心躍るじゃん。
今で十分って思ってても普段と変わったことがあると嬉しい。


「あっちぃー」

家に着いて冷房のきいた車内から降りた途端、次々にそう声を上げながら小走りで家の中に入っていく。

庭では首にタオルをかけた翔にぃが、バーベキューのグリルやテーブルなんかを用意していた。


翔「おかえり。暑いから和も家の中入ってな」

和「ただいま。もう準備始めてたんだ。俺も手伝うよ」

翔「いい、いい。タープは後でたてるから。今は一人でも出来るよ。
仕事で疲れてるでしょ? ちょっと休んできな」


時刻は3時近い。気温もピークをむかえ、まだまだ日差しが強いこともあって翔にぃのTシャツは背中の色が変わるくらい汗だくだ。

アウトドア好きな翔にぃにしてみれば、こういう準備すら楽しんでやっているのかもしれないけど。

俺の心配をしてくれるのは嬉しい。
でも翔にぃだって夜勤明けで数時間の仮眠のあとこうして作業してるわけだから。
気をつけないと熱中症になっちゃうよ。


和「俺平気だから手伝うよ。
翔にぃだって休まないと…倒れちゃう…」


言いながら『俺準備とかよくわかってないし手伝っても邪魔になるかも』って思って、徐々に声が小さくなる。
うつむき加減になったとき、翔にぃの手が伸びてきた。


翔「まったく可愛いやつ。兄ちゃん嬉しい!!」

和「うー、やめっ、やめへ」


ほっぺたを両手で挟まれて円をかくようにグリグリ。

ニコニコしながら俺の顔いじくりまわしてるけどさ。
その手、作業したまま洗ってないでしょ。


和「バイキンがほっぺたにいっぱいついた」

翔「洗えば大丈夫だって。
俺の手そのままぺろぺろなめたわけじゃないんだから」

和「ぺろぺろ…。うえー、気持ち悪」

翔「たとえ話なんだから想像するなって(笑)
はい、じゃあ顔洗っておいで。そしたら少し休んで。
バーベキュー始まるまでまだ時間があるからね」


俺が家の中に入るきっかけを作るために、意図的にやったことだったのかはわからないけど、そうだとしたらどこまでも家族思いの人。

「仕事、お疲れさま」って肩をポンと叩いた翔にぃに、このときは…このときだ・け・は!!イケメンだと思った(笑)

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作者名:ちさ | 作成日時:2014年6月28日 23時

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