夏の思い出 2 ページ26
雅紀Side
和「ごめんって〜雅にぃ。
さっき頭痛いって言ってたけど、本当? 大丈夫?」
雅「え? あぁ…いや、あれ嘘なんだ。ごめんね」
酷いぞ和。俺傷ついたぞ!!
ってプンプンしてようと思ったのに。
本気で心配してくれるなんて思ってなかったよ。
まだ仕事モードから抜けきっていないのか、「ならよかった」って小さな子に向けていたような笑顔で言ってきた和に、少し照れちゃった。
好きだけどね、和の笑った顔。
家では口元隠して「んふふ」って笑うか、ツボにはまって大笑いしてるかのどちらかが多いから、こんなふうにニッコリ微笑む顔に慣れていないんだ。
結「ねぇ〜かずくん」
和「ん〜なあに?」
結「おんなのこ、だーれ? かのじょ〜?」
和「か、彼女ぉ!? 女の子って、さっきの?」
彼女って、すごいこと言うなぁ、ゆいちゃん。
幼稚園で教えてもらってきたんだね(笑)
雅「かず…俺はどんな年の差婚も応援するつもりだよ。でもさすがにあの子は…」
和「やめてよ雅にぃ。ゆいちゃんが本気にしちゃうから」
智「こら、廊下で騒がないの。お静かに」
騒ぐってほど大きな声で話してたわけじゃないけど、確かに声はちょっと響いてた。
言葉だけみると怒っているようだけど、診察室から出てきた智にぃの顔はいつも通りふにゃふにゃ。
「彼女が来てたの?」なんて和をいじりながら、俺の腕の中にいたゆいちゃんを奪って自分の胸にくっつけていた。
智「お迎え来てくれてありがとねー。
はぁ〜、疲れが吹っ飛んだ。一緒に帰ろっか」
ゆいちゃんをぎゅーっとしてから片腕で抱っこした智にぃは、頭の後ろをポリっとかきながら「お腹すいた〜」と、完全にオフモード。
数分前まで診察をしていたはずなんだけど、この切り替えの早さっていうか、省エネ感満載な感じが智にぃらしくて微笑ましい。
雅「智にぃ、お昼ごはん食べ過ぎちゃダメだよ。
今日はお腹すかせておかなきゃ!!」
智「んふふ、そうだね。じゃあお昼ごはん抜きにしようかな」
雅「それはダメ!! 倒れちゃう!!」
和「どっちなの。もー雅にぃ、テンション高いんだから」
だって今日はバーベキューだよ?
炭火で焼いた肉が食べ放題なんだよ!?
俺にとっちゃ大イベントだ。
家でじっとなんてしていられない。
和「大イベントなんて大げさな」
雅「そういう和だって、スキップするほど楽しみにしてるんでしょ?」
和「な、なんで…」
ふっふ、驚いてる驚いてる。
お兄ちゃんはね、なんでも知ってるんだぞ(笑)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
