64話 ページ15
カタカタとパソコンのキーボードを打ってはそのデータが送られる。
かれこれ5時間はパソコンとにらめっこして論文を作っている。
『あ〜…この部分に貼付する資料写真って家に置いてきたんだっけか…。』
大事な資料写真を家に置いてくるとかいう大失態を冒した私はガックリと項垂れて、近くに置いたコーヒーを口に含む。
気持ちも相まってほろ苦さが際立つコーヒーはいいねぇ…いやいやそんなこと言ってる場合じゃないだろ。
家と研究所が近いから取りには行ける…でも近いからその分面倒臭いという気持ちも増すものなのよ。
うだうだと考えながらパソコンから離れてくるくると椅子を回す。
こんなことをしても何の解決にもならないのはわかりきっているので、部屋に響く程大きなため息をついて椅子から飛び上がった。
白衣を脱ぎ椅子の背もたれにかけてハンガーにかかったコートを羽織ると鍵を持って部屋を出た。
〈あら…忘れ物？〉
『ラティアス…室内にいるなんて珍しいわね』
フラフラと研究所内を徘徊する伝説のポケモンなんていてたまるか…いや、ここにいたわ。
相変わらず目つきは鋭くこちらを睨むように見てくるラティアスだが、いつもと違うのは私に頬擦りしてくることだろう。
あのツン:デレが9:1のラティアスがまずデレてくるなんてことはないはずなのよ。
いつもの彼女が一番初めにすることなんて毒吐きからのそっぽ向く程度よ
『そうだ…キッチンの冷蔵庫にモモンのみのタルトがあるけどそれ明日のおやつだから食べちゃダメよ。
皆のおやつだから1人で食べてしまえばボコボコにされるから。』
〈てっきり食べていいよのフリかと思っちゃった〉
フリだったらもっとマシなフリをするさ
とにかく留守番をよろしくと言って研究所を出ると外はもう真っ暗で街頭だけが頼りだった。
やっぱり冷えるわね…そろそろ夏になるかと思ったけどまだまだみたい。
『さっさと資料を取りに行かないと…』
早足をキープして近づいてくる家は何故か明かりがついていて顔を顰めた。
誰かいるのか？いるとしたらお母さんかな
いやでもそしたら連絡するはずだし…
少し体を強ばらせて格闘の構えをしてジリジリとドアに近づいてノブに触れる。
鍵は開いてる…となると泥棒？
『警察だ！動くな！』
ドアを蹴破り、ちらりと見えた人影に蹴りをかますとそれは私にとって見覚えのある人物だった。
『えっ…兄様？』
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めいめい - この作品好きすぎてやばい… (2022年3月7日 1時) (
レス) id: 73de415c6e (このIDを非表示/違反報告)
ぬこの妖精(プロフ) - あまねさん» まじでこの作品に出会わなかった自分が馬鹿馬鹿しく見える (2022年1月23日 13時) (レス) @page27 id: 4cd21e436e (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年11月22日 10時) (レス) @page17 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年9月16日 1時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - この作品好きです！更新頑張ってください! (2021年8月28日 22時) (レス) id: abdd5dc6bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：またたびはまた | 作成日時：2021年8月28日 21時
