[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅱ (ページ31)

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八十一話ページ31

火吹き島にて

盗賊三姉妹との怒涛のバトルラッシュで疲弊している少年テルのポケモン達

長女オマツのエースであるゲンガーが手強くて、彼女の後ろで妹達がポケモンの体力の回復をしていた。

｢(厄介なんてもんじゃない…)

マグマラシ、かえんぐるまでゲンガーを囲んで追い詰めろ！｣

息のあがる相棒に指示を出すと、かえんぐるまをせずに空を仰いで雄叫びを上げた。

身体を震わせ更に大きくなろうと辺りの砂すら巻き上げているのにはきっと意味がある。

この感覚はよく知ってる、進化だ

自分の知らない相棒の姿に震える

深い紫色の毛はきっとヒスイの大地の影響によるものだろう

首周りから吹き出る炎は熱い真っ赤なものではなく、ゆらゆらと揺れる人魂のような紫色の炎。

ちらりと少年テルの方を向き笑いかけるその後ろ姿はやってしまおうと言っているように見えた。

｢そうだね…お前の新しい力を見せてやろうよ！

バクフーン!!｣

そう言った瞬間相棒は赤い目をギラギラと光らせて首周りの炎を操った。

それは多くの恐ろしい形相の鬼火がバクフーンの身から生み出され、ゲンガーに襲いかかってタダでは済まさない。

フラフラと己の体を支えることも難しくなったゴーストはその場に倒れ伏してしまった。

全員が敗北すれば食い下がってくれるだろう…と思う時点で油断していると言えよう

｢あたしのユキノオーもオウメのドクロッグも回復させたわ！

こうやって元気にすればキズぐすりのある限り戦えるってわけ！｣

なんと愚かなのだろうか…そしてずる賢いのだろうかと思うテル

このままでは不毛な戦いを続けなければならないと歯を食いしばったその時だった。

｢ぐぬっ！｣

後ろから鳴き声が聞こえたと思えば足元を横切ったのは小さな影だった。

それは小さな体で勇気をだして大きな1歩を踏みこんだポケモン、先代キングの子供ガーディだった。