[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅱ (ページ29)

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七十九話ページ29

群青の海岸、イチョウの浜辺にて

連れ攫われた相棒のガーディが帰ってくるのを待つことしか出来ないでいる彼女はずっとそわそわしていた。

それを横で見ているキングの子供も同じだった。

｢ごめんなさいガーディ…あたくしがしっかりしていないとあなたも不安になってしまうものよね。｣

しかしどうすれば良いのか分からないでいるためガーディもただ真っ直ぐ火吹き島を見つめることしか出来ずにいた。

自分の父親を奪った恐ろしいもの…それが海

しかしこのまま立ち尽くして、家族とも言えるガーディが無事に帰ってくるのを祈るだけでよいのだろうか。

自分の父親がそうでは無いのか

勇気をだして父のように大切な存在を守るためにも前に進むべきなのでは無いのか。

｢ぐわぁうっ！｣

｢えっ…ガーディ!?｣

覚悟を決めて浜辺を駆け抜け海に飛び込んだガーディはそのまま真っ直ぐ火吹き島を目指して泳ぎ出した。

なんてことだ…あれほど恐れていた存在に自ら立ち向かって行くなんてガラナも思ってはいなかった。

慌てて追いかけようと海に入っていくガラナだったが、横から投げ入れられたなにかに一瞬視界を奪われた。

『うちの子なら火吹き島まであっという間に到着します。』

それは水色の体をした一匹の龍

凶暴そうな出で立ちに反して小さく弱い者に手を差し伸べる優しいポケモンだ。

｢あなたは…？｣

『私の名を聞く暇があるのならガーディと一緒にテルを助けてあげてください。』

浜辺に立って優しく笑いかける紫色の長髪をなびかせる少女は、自分の仲間である龍に触れて話しかけた。

『ギャラドス…あなたの力を貸してガーディとガラナさんを助けてください。』

まるでギャラドスと心を通わせることが出来ているかのような意思疎通の仕方をしている様子を見てガラナも目を丸くした。

しかしそのような暇もないと判断すると、ギャラドスに乗りガーディを追いかけた。

ガーディは勇気に立ち向かってる

それは海を乗り越えることではなく、困難に立ち向かって更に向こうへ突き進むこと。

彼女は気づいた、これがガーディのしたい事なのだと。