七十七話 ページ27
そろそろ火吹き島に行かなくては、そう思い別れの挨拶をしようとしたその時悲劇は起きた。
｢常盤木と呼ばれる松のようにいつまでも若く美しい 長女のオマツ｣
｢枯れるどころか次々と新芽を咲かせ繁栄を体現する 次女オタケ｣
｢寒い冬に春の訪れを知らせる可憐にして気高さの象徴 三女のオウメ｣
嫌な予感がした
振り向き三人の影を睨みつければ、三人仲良くポーズを決めて見参する盗賊三姉妹がいた。
紅蓮の湿地でも会ったことがあるが、彼女達のする事はロクなことじゃあないことを知っているテルは身構えた。
｢野盗三姉妹ショウチクバイ
あんたのガーディをいただくよ！｣
そんなことさせるわけが無い
少年テルは二体のガーディの前に立ちすぐにボールを取り出せるように構えると、オマツは余裕の表情を浮かべて口を開く。
｢ゲンガー、やっちまいな！｣
まさかと思い背後を見れば、オマツの相棒と思われるゲンガーがガーディを一体抱き上げ姿を消した。
まさか大きい個体のガーディを連れ去ろうとするなんて思わなかったので少しばかり油断した。
しかしそんなのが言い訳になるとは思ってない
｢ガーディを返せ！｣
｢ふん…アタクシ達が生きづらいのはコンゴウ･シンジュといったせせこましい集団のせい。
広いヒスイで好きに生きていくため、強いポケモンを従えて見せるのさ。｣
ガーディを人質ならぬポケ質にされているのもあって下手に動けないでいるテルは考えた。
どうすればガーディを傷つけずに救出出来るのか、先輩であるAならどうするのか。
｢さてと戻りましょう。
誰も来ない“暑い場所”に｣
それだけを言い残しゲンガーが目くらましの技を出した瞬間、誰もが自ら視界を塞いでしまった。
｢あぁ！ガーディ!?｣
悲しみに胸を抑えその場に座り込んだガラナを見てテルは自らを責めた。
｢ごめんなさい…自分がもっと早く判断して行動してれば…！｣
だからこそ助けなければ…Aならそう言っていると考え、テルは両頬を叩いた。
必ず救い出す
彼の頭にはそれしか無かった…が、しかし盗賊三姉妹が何処に逃げたのかすら特定出来ていないのに何処をどう探せば良いのかわからなかった。
｢誰もいない暑い場所…と言っていました。
ということは火吹き島？｣
ススキの言葉にテルは前を向くことが出来た
それならばイダイトウの力を借りて行けると確信したからだ。
｢お願い…力を貸して！｣
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作者名：またたびはまた | 作成日時：2022年3月1日 11時
