ルージュの指輪 (ページ30)

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「うわ、高橋くんやん！」
「…長尾、知り合いなん？」
「おん。中学一緒。」

バーベキューの後、1回だけアイツに会った。

「…へぇ。」

長尾もいたし、あからさまに避けることは出来ひんくて
流れで近くのファミレスに入って。
目の前で弾ける炭酸ジュースを見てた。

「謙杜は彼女さんと上手くいってんの？」
「今が一番幸せ！」
「顔だけで分かるわ。」

「みっちーはAちゃんとどうなん？」
「…普通。」
「最近ずっとこうやねん、喧嘩でもしたん？」

コイツのせいや。
いや、俺のせいでもあるけど。
とにかくジャンケンのせい。

黙って目も合わさん俺に
吹っかけられたのは、予想外の言葉。
その時1番聞きたくなかった言葉やった。

「Aちゃんも同じ顔してたわ。」
「…は？」

「え、高橋くんAちゃんのこと知ってんの！？」

…なんで。なんでや。
俺でさえ一週間近く顔合わせてへんのに。

目線を上げた先にいたのは、悪気のない姿。
「拗ねるな」と言うような余裕な表情。

「みっちーさ、Aちゃんに本心伝えたことある？」

周りはうるさいはずやのに、その言葉はやけにはっきり聞こえた。