ルージュの指輪 (ページ28)

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「どうやった？」
「めっちゃ美味しかった。」
「まだデザートあるからな。」

私の言葉に満足気な顔をする。
こう見えて彼はロマンチストなのだ。
サプライズはするのもされるのも好きなタイプ。

「なぁ、」
「ん？」

「ずっと引き伸ばしててごめ、」
「失礼致します。」

「…」
「デザートでございます。」

目の前で笑いを堪える彼を思わず睨んだ。
いや、バレてるし。

私が悪いみたいやんか。
まぁ、タイミングは悪いけど。

「もう1回言うけど、」
「Aハピバ！」

「…」

変に緊張していた自分が馬鹿らしくなった。

容易に想像できる悪戯な笑顔を頭に浮かべて、
わざと被せてきたその言葉を聞いてから顔を上げる。

「人の話は最後まで聞けって言われへんかった？」

「0時ぴったり過ぎるかもしれんやん。」

…会話になってへんけど。

言い返すのも億劫だったのでやめた。
なんてったってこれが通常運転ですから。

「好きやで。」
「…え、」

「好き。多分ずっと前から。」

目を合わせてそう言うと、
数秒後には逸らされてしまった。

「不意打ちは、あかんやろ。」
「こういうの好きやろ？」

自分の赤い顔が見られなくて、都合がいいと思った。