Remember Loving 【志麻】

おまけ 2 ページ48

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退院当日。

仲良くなった看護師さんから、

退院祝いを貰って、

笑いながら話をしていると、

花束を持った 志麻の姿が目に入った。

志麻の姿を目で追っていると、

坂田と志麻が合流して、

なんでか分からないけど花束を坂田に渡した。


よく分からないまま二人の元に行くと、

志麻が持ってきたものなのに、

坂田が選んだやつだからって花束を渡されて、

そこで気付く。

あぁ、志麻の優しさなんだ これは、と。

嬉しかった。

もっと一緒にいたいと願った。

だから この花束が、

志麻からのものだと分かっていながらも、

退院祝いを理由に、志麻をデートに誘った。




そのデートは、

私が志麻を思い出すためのデートにしようと、

決めていた。

思い出したら、

志麻は私を愛してくれると、

そう思ったから。

でも、なんとなく見覚えがある、

そんなレベルでしか思い出せなくて。

少し驚いたのは、

身体が勝手に動くってことが、

数回あったこと。

当たり前のように助手席に乗っていたり、

志麻の手を取ろうとしていたり、

そして、志麻の家では、

ソファーに座って、くつろいだりして。


気に触ったのか分からないけど、

志麻は泣いてしまって。

驚いた私が志麻に近づくと、

志麻は私を抱き締めて、

“私のことが好きだ” と。


嬉しかった。

私も好きだと言ってしまいたかった。

けど、彼が私に好きと伝えたのは、

私が “昔の私” の行動をしたからで、

私が “今の私” だったら、

好きなんかじゃないわけで。

だから。

だから、逃げた。


嬉しかった気持ちに蓋をして、

志麻から逃げて。

新しい人と出会って、

昔の私を知らない人と幸せになった方が、

そう思ったのに。


志麻は私を迎えに来た。

“昔の私” も、

“今の私” も、

変わらず私だからと受け止めて、

私自身を愛してくれた。

あの日のことは、

きっとずっと、

忘れることはない。


今ではなんとなく、

昔のことも うっすら分かるようになった。

あ、ここ 志麻と一緒に行った気がする、

なんてそんな程度だけど。

それを伝えたら、

志麻は嬉しそうに笑うし、

もし覚えていなかったとしても、

新鮮にデート出来るしええやん、

そう言って笑ってくれる。


いつか、

記憶を失くしたあの日から、

志麻を好きになった今までの話を、

彼に出来たらいいなと思う。

そしたらきっと、

志麻は 大好きなあの笑顔で、

笑ってくれるから。




｢ 大好きだよ、志麻 ｣

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