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意味分からん、用事ある、行く気ない、どんな言葉で断っても、Aは諦めなくて。
どう断ろうかと ひとつため息をついてから、Aをじっと見据えると 身長差的に自然と出る上目遣いのまま ほんまにダメ？と問うてきて。
やはり俺は、好きな子のお願いには弱いらしい。
まぁ… 別にええけど、と答えてやると やったーっとにこにこ笑って。
｢ んじゃ、志麻 また明日ね！ ｣
そう言って、坂田とどこかに向かったAを見送ってから、はぁ…と深くため息をついた。
＿＿＿＿…のが、既にもう昨日の話。
気付けばもう日は回っていて、明日の11時に病院前でって待ち合わせして、色々行きたいから車出してーなんていう我儘にも黙って従って車まで出して、いつも通っていた病院に向かう。
病院前まで来て Aを探しながらゆっくり車を走らせていると、きょろきょろと辺りを見渡している不審なちっこい女性を一人発見。そいつの近くまで車を寄せてクラクションを鳴らすと、相変わらずあの嬉しそうな顔でこっちを見る。
あいつの服装は、前に俺とデート行った時に着てたであろう服だ。…絶対、とはいいきれんけどあれに似たような服を着てたなぁ、って記憶はある。ほんとに、ずるい奴だ。
助手席の窓を開けて 早く入れ、と声を掛けると迷いなく助手席に入ってくる彼女。
当たり前のように “Aの行動” を取ってくるから、ほんまは記憶失くしてないんちゃうか とかまた考え始めてしまいそうで。
｢ 後ろ乗れよ俺に彼女いたらどうすんねん ｣
｢ いるの？ ｣
｢ …居らんけど ｣
結構格闘して発したその言葉も、じゃあいいじゃんって明るい言葉で流されて ふんふーんと楽しげに鼻歌を歌い出す彼女にひとつため息をついてから、アクセルを踏む。
＿＿＿お前が、俺の彼女だったんだぞ、なんて。言ったら 一体どんな反応するんやろ。
嘘つかんといてよ、って笑うのだろうか。
それとも、最悪って顔を顰める？
…それとも、なんかそんな気がしてたんだって優しく微笑んでくれたり、しないだろうか。
｢ 志麻？何ぼーっとしてるん。運転中ぼーっとするんやめてぇや怖い ｣
｢ 悪い悪い運転に集中しとった。で？今日はどこに行きてぇんだよ ｣
｢ 私が志麻と行ったとこ ｣
｢ …は？ ｣
俺は、それだとほんまにただのデートになるぞ、なんて口に出せへんまま、ただなんでだよ とだけ問うていた。
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