Remember Loving 【志麻】

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それから三人で ちょっと話して、俺は 用事あるからって ちょっと早めに帰ることにした。

帰り際、Aにちょいちょいと手を引かれ、

そんなことだけで 喜びそうになる単純な俺に呆れながら なに？と聞くと、唇を耳元に寄せてきて こそっと、


｢ また来て、坂田のこと 相談に乗って ｣ と。





( …ほんっまに こいつは…… )






｢ 明日も暇やから来たるわ ｣


｢ めっちゃ暇人やん 仕事は？ ｣


｢ 今は頑張ってイベント関係で生計立ててる。それに、仕事はあったとしてもバー関係で夜からやから問題ない ｣


｢ ふーん ｣


｢ えー、志麻くん 明日も来るん!? 俺も来ようかなーっ ｣


｢ 坂田こそ仕事やろ ｣






じゃあな、と椅子から立ち上がると、

ばいばーいと手を振る坂田と、

明日待ってるから って微笑む A。





こうして二人をみると、確かに お似合いかもしれへんな なんて思ってしまう自分がいたりして。

全く知らんやつに、こいつをとられるより 坂田とかよく知ってるやつと付き合ってもらった方が安心できるかもしれないな。

なんて嫌にネガティブになる思考回路を無理やり変えて 考えた。







彼女が目を覚ましただけで、

彼女とこうしてまた 当たり前に話せるようになっただけで、

喜ぶべきことなのに。



一番幸せだった あの頃を思い出すと、どうにも今が不幸だと思ってしまう。







｢ こうなったらもう、会わんほうが絶対楽なのにな… ｣





くしゃっと髪の毛を触りながら、そう呟く。

楽なのに、そうしない理由は一つだけ。

俺はあいつが好きで、あいつの為になるんならとか少しでも思ってしまうから。









｢ ほんま、惚れすぎやろ俺。こんな一途やった覚えないんやけどな〜 ｣







過去付き合ってきた女を思い出しては、そいつらがどうなった所で そうなんやかわいそやなーぐらいにしか思わないだろうな、と。

それぐらい、俺にはAはとてつもなく大きい存在やったんや、って今更ながらに実感した。

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