Remember Loving 【志麻】

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先生が、すみません そろそろ… と申し訳なさそうに声を発する。

立ち上がらない俺を 坂田がぐっと引っ張って、まーしぃ とりあえず今日は帰ろ？と。

タクシーで、困らせてごめんだのなんだの言ったくせに こうしてまた歳下の坂田に迷惑かけて。

悪いとは思ってる。アカンな、って。
俺はガキか、って思ってんのに… 身体も心も全く言うことを聞いてくれなくて。


坂田に引っ張られて、病室を後にする。
力無い俺を引いて、父さん母さんに礼をして いつの間にか呼んであったタクシーに俺を突っ込んで。俺の家の住所を告げるとこまでしてくれた。





｢ まーしぃ、一人で大丈夫？俺泊まってこか？ ｣


｢ あぁ…悪いけどそうしてもらえると有難い ｣




一人だと正直何をやらかすかなんて分かったもんじゃなかった。

泊まっても大丈夫なように、何着か俺の家に置いてある彼女の服とか、当たり前のように俺のやつの隣にさしてある歯ブラシとか、棚に鎮座してる可愛いマグカップとか。

それを見て、彼女を思い出しては 泣いて叫んでを繰り返しそうで。



家に着いて、さすがにここまでは甘えられねぇからって金を払い、タクシーを出る。
坂田を中に通して、二人してソファに腰掛け ぼーっと視線を中にさ迷わせて。








｢ なぁ、まーしぃ ｣


｢ ん？ ｣


｢ 明日のライブ、どうしよっか ｣


｢ …どうしようも何も無いやろ ｣


｢ …？ ｣


｢ アイツが、目覚めた時に 自分のせいでライブ無くなったって聞いたらどんな反応するかなんて見るも明らかなんだからさ ｣


｢ …確かに、そうやんな ｣




俺らは確かに一般人みたいなもんだけど、それでも一般人とは 少し違って。みんなにお金払ってもらって、わざわざ来てもらって イベントを行う。

そういうことやってるってのは、俺以上にAの方が分かってて、

一回俺のイベント中にAが高熱出して倒れたって時があった。そん時も…俺への報告は、イベントが終わってからだった。

俺が なんでもっと早く言わんねんって怒ったら、当たり前のようにしれっと “ じゃないと私のこと気にして イベントに集中出来ひんかったやろ？ ” なんて。

当たり前やん、なんて言えば、
それ嬉しいけど ファンの子からしたら最悪やん。志麻は、私の彼氏でもあるけど それ以前にパフォーマーやねんで、って。




だからきっと、今回も そう言うと思うから。
俺が今唯一出来るのはそれぐらいしか…無いから…

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